無我夢中で半次郎を救おうとした考章・・
まかり間違えば、彼もろとも斬り殺されかねないーー!
ーーしかし、何をどう説得したのか、武士は捨てぜりふを残し、何事もなく去って行った。
呆然自失の考章・・気がつけば、半次郎は気を失い、寝そべっているではないか・・
やれやれと肩に担いでも、がりがりに痩せた男の体重は、食うに困らぬ、しっかりと
栄養の行き届いた体格の考章にとっては、何でもない。
彼を担いだまま、夜道を、自分の下宿?先へと向かった・・・
半次郎を自分の住まいに置く。ということは、単に面倒を見る、というだけではなかった。
藩か、誰かの手先として人斬りを行っていることは明らかでーーということは、もし、その命に
背いたとなれば、背後にいる者たちが黙っていない。
ーー彼を、その者達から守らねばーーそれも、命懸けで ・・・
それをしなければ、彼は、間違いなく殺されるーー
こう書くと悲壮感漂うが、実際考章に、そこまでの覚悟があったのだろうか?
どういうわけか彼には、悪い結果を招くことはないだろう、という根拠のない自信があった・・・
