男たちのリーダーであるこの男性ーー
下級藩士という、経済的にそれほど恵まれていたとは思えない前世の男性とは対照的に、
非常に裕福な家庭に生を受けた。
黒船来航に端を発する激動の時代ーーリーダーである男性は(彼は上級藩士の出であった
ようだ)、特に西洋の学問を学ぶため故郷を離れ、上方へやって来たと思われる。
居酒屋に一緒に居た仲間たちは、同じ学校?で学ぶ友人であり、同時に生徒でもあった。
ーーというのは、彼が先生のような立場で西洋の本を読み上げ、彼らに教える姿が視えた
からだ。
彼は学生でもあったが、すでに身に付けた知識を仲間と共有するため、時には講師としての
役目も担っていたようだ。
親元を離れ、両親の豊かな仕送りに支えられて、数年前より上方でひとり住まい。
未来の日本を夢見て、日々学問に励んでいた。
日々の糧に窮することもなく、好きな事を思う存分させてもらっている自分と比べ、正反対の
人生を送る前世の男性ーーー自分の所為ではないけれど、年齢が似通っていることに親近
感を覚え、他人事には思えなかった。
彼のあまりにも悲愴な表情ーーそして、友人たちが気にもかけないあるリスクを、彼は敏感
に感じ取っていた・・・
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この男性が、依頼されてきた奥さまの前世の人物である。
『ご夫婦ネタ』となったほど、お待たせしてしまった登場であります・・(;^_^A
適塾(大阪)

