何か思想のようなものに引き摺られ、同時に選択肢も無い状況で血判を押したと思われる
前世の男性。
なので、その時点では 『人斬り』 という稼業に対して、深く悩むことなく行動していたようだ。
ーーしかし、実際彼を待っていたのは、夢でも理想でもない凄惨な現実だった・・・
人斬りを始めてすぐ、激しい後悔が襲った・・・今すぐにでも止めたいーー!
けれど、それは叶う望みではない。まして、家族を養うための金が要る・・
幼い娘や、妻のことを思えば、耐えるしかないーー
何日が過ぎたのだろうーー前世の男性は、短い間にげっそりと痩せ細り、まるで、幽霊のよう
に街を彷徨っていた・・現代の言葉で言えば、ほぼ ノイローゼ のような状態・・
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依頼されたご夫婦の前世を見始めた当初、実は、非常に怖い体験をしている。
なかなか視えなかったお二人の前世に集中するため、いつものごとく夜の散歩に出た時の事。
すぐに、ご主人の前世の姿ーー人斬りの浪人の姿ーーが視え、そしてその人物が、夜道の途
中、まぼろしのように、現実の姿として 現れたのだ・・!
それはまるで、ドラマなどで見る 幽霊 そのもののような姿だった・・
様々な前世の人々を視ているが、現実にその姿を見たのは、初めてのことで、しかもこの場合、
相当ビビった!!!
何故なら、とにかくこの人は ノイローゼ で、半分死に掛かった(失礼な言い方で誠に申し訳
ない)もう、本当に幽霊のような状態だという情報だけが、しっかりと入っていたからだ。
彼のそれ以前それ以降(人斬りとなって)の経緯が判ってきたのは、もっと後のことなので、こ
の時点でそんな情報を前提に見たものだから、もう飛び上がるほど驚いたーー
翌日も、彼(浪人)がまた現れるのではないかと、びくびくしながら歩いたものだ。
余談ではあるものの、この恐怖の体験が、彼の人生、そして奥様の前世に繋がる核心部分へ
導く扉を開いてくれることになる・・
