空の彼方に⑦ 茶屋 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。


意気揚々と上方への一歩を踏み出した男性の腰には、父から授かった日本刀。

懐には・・・わずかばかりの小銭。


旅立ちの日から、どれ程経ったのだろうかーーその日、まだ太陽が頂上に上りきらないうち

から、青年のお腹は音を立てていた。


視線の先には一軒の茶屋ーー





僅かなお金を使い切ってはいけないと、やせがまんし、お茶だけを頼んだ。

運んできたのは、彼より少し年上の女性ーーーしかし、彼のやせがまんぶりをた彼女は、

ほどなくして彼の妻になるーーー


このあたりの詳しい経緯は視えなかったが、大体以下のようなことだと思われる。


ーー彼が上方へ向かうという初心を断念したわけではなかったが、いくら義に篤いとはいえ、

やはり、全財産を放棄した状態で長旅に出る事自体、無謀な試みであたと思い知らされた

ことは間違いない。


世間知らずの若者ではあったが、茶屋の娘はそんな気立ての良い?彼を放っておけなかっ

たのかもしれない・・


はりきって故郷を旅立ったにも拘らず、上方行きなど夢だったかのように、茶屋の娘と結婚、

子宝にも恵まれ、災害によって失った家庭を、新たな形で再び手に入れることになるーー



幸せな家族との生活ーーしかし、運命の歯車は、再び大きく狂い始めるーー

そしてその発端は、皮肉にも、自分の最大の誇りである 剣の腕前 に因るものだった・・