空の彼方に⑥ 上方へ | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。


上方(かみがた)とは江戸時代に大坂や京都を初めとする畿内を呼ん

名称。広義では、畿内を初めとする近畿地方一帯を指す語。

天皇の住む都を「上」とする事から用いられ、特に江戸幕府は三河国

(愛知県東部)以西の五畿内・三州を、「上方筋」と定義した。政治的な

中心である江戸に対し、古くは経済・文化的な中心地・先進地域を指す

語として用いられた。


五畿内 ※( )内は現代の相当領域

大和国(奈良県)

山城国(京都府南部)

摂津国(大阪府北中部の大半、兵庫県南東部)

河内国(大阪府東部~当初は南西部も含む)

和泉国(大阪府南西部~大和川以南)

三州

近江国(滋賀県)

丹波国(京都府中部、兵庫県北東部、大阪府北部)

播磨国(兵庫県南西部)






財産も家族も失い、一人で生きていかねばならなくなった前世の青年にとって、故郷で職を探

そうにも、彼にできることは何もなかった。


ーーまだ20才にもならない彼にとって、しかし、未来は揚々として見えた。

父に一目置かれた剣の腕前、それは彼の自信の源ーー上方という、まだ見ぬ都会?は、大き

なチャンスを与えてくれる憧れの地だった・・


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婆やは、自分に差し出された重い袋の意味を知って、卒倒しそうになった。

金銭が欲しかったわけではない、額の大小でもない・・・大地震から九死に一生の命を授かっ

たのにーー無一文で、どうやって上方まで辿り着こうというのか・・!


青年は、驚き、恐れ、頑として拒否する婆やをなだめた。


ーー自分は19歳とまだ若い。何としてでも生きていける。決して心配などしないでほしいーー

のような意味のことを言いーー実際彼はそう思っていたーーそれに対して、年老いた婆や

今後を憐れみ、手元にまとまったお金は無くなるけれど、これからいくらでも稼げるーー

そう説得した。


晴れ晴れとした顔で手を振り、やがて小さくなってゆく『坊や』の後姿ーー

婆やは袋を胸に抱きしめ、溢れる涙を拭おうともせず、立ち尽くしていた・・