空の彼方に⑤ 別れ | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。


地震の際、偶々外に出ていたため、命を救われた少年(すでに青年 この時19歳)ーー

屋敷に居た両親と幼い妹は、崩落した建物の下敷きになり、この世を去ってしまう・・


天涯孤独となった青年が、悲しみからどのようにして立ち直ったのか、また、肉親の死後、

いったい何があったのか、詳しくは視えなかった。


が、次に視えてきた場面は、惨禍よりどれほどの日数が経ったのかはわからないものの、

その日、彼が、長年屋敷に仕えてきた婆や?と、別れの挨拶を交わしているところだった。

彼女も、運良く屋敷の外にいて、災いを免れたひとりだ。


この日、天気も上々、青年の心の中は整理され、悲しみも癒えていた。

そればかりか、晴れやかな気持ちで、自身の門出を迎えているーー


方や、婆やのほうはといえば、涙に暮れていて、まるで幼い子どものように、まともな話し

すらできない状態だ。


ーー実の子よりも可愛い坊や!が、たったひとりで上方(かみがた)へ旅立つことを、喜ぶ

べき立場なのに、坊やの身の上が心配でたまらないのだ。かといって、全てを失った彼に、

自分ができることは何もない・・仕えるべき主がいないのなら、自分は故郷の身寄りを頼っ

去るしかないーー


長い間婆やをなだめていた青年の顔に、ふと明るい笑顔が浮かんだ。

そして、懐からずっしりと重い布袋を、彼女の前に差し出したーーーそれは、彼に残された全

財産ーー旅の資金にする予定のものだった・・・