だがその年、冬の寒さは、かつてない厳しさだった。
一面を覆いつくす雪・・・
あまりの寒さに耐えかね、青年はついに、とある部族に助けを求めた。
一族のリーダーは、眼光放つ厳つい男だったが、寒さに震え、救いを求めて来た青年を
理由も聞かず、ティーピーへと招き入れた。
ーーー他部族の見知らぬ男ーー戦士である可能性も否定できないにも拘らず、このリー
ダーは、彼の素性を尋ねることすらせず、そればかりか、青年があたかも、彼の村に昔か
ら暮らしていた仲間ででもあるかのように接し、振舞ったのだ・・・!
淡々と、何事も無かったかのように受け入れてくれたリーダーに対し、青年は逆らうことな
く、そして特に 『言葉で』 感謝の意を表すこともせず、見た目は 彼も淡々と運命を受
け入れた。
翌日から、それこそ、生まれた時からこの村で生活していたかのような暮らしが始まった。
他のインディアン達も、彼をリーダーが決めたように扱い、すぐに皆と同じ、割り振られた
仕事をあてがった。
青年は、その仕事も淡々とーーしかし決して手を抜くことなく、きちんとこなしていった。
彼のためのティーピーもあてがわれ、一族は彼を一人前に扱った・・・
ーー月日は流れ、彼の周りには、若い娘達の姿がちらつくようになるーー彼はその存在に
気づいてるのかいないのかーー彼女らは、明らかに彼との結婚を意識して近づいてきて
いるのに・・・


