その人物は、太い腕で、前世の青年と彼と取っ組み合っていた兵士の二人ともを
一瞬で、あっさり引き離した。
睨みを利かす大男の、体格を見れば一目瞭然ーー酔いも一気に醒めた兵士は、
そそくさとその場を逃げ出した。
助けられたような格好となった青年は、機嫌が悪い。
傷だらけの横顔を見せ、不機嫌なまま煙草をくわえるーー
ーー助けてくれと頼んだ覚えはないぞ、と言わんばかりにーー
この大男と前世の青年は、強い友情で結ばれていたが、時空を越えた絆もあるようだった。
二人とも、田舎の田園地帯で育った、農家の出身だ。
他の兵士達も貧しい出の者が多かった・・・
ーーその時
どういった経緯でそうなったのかはわからないが、どんちゃん騒ぎの中
突然ひとりの兵士が立ち上がったーー
気づいた一部の兵士達の視線が、一斉に彼に注がれる・・・
