ツェツェクの、純粋で一途な愛情と違い、上官の娘ーードルマーとするーー
のそれは、相手に対して一歩も引かないーー相手が屈服するのを待つというような
乱暴なものだった。
ジャムカ自身、恋人に媚を売るような性格ではない。
男だから、と言えばそれまでだが、ドルマーは女性である。
その女性が男性に対して、自分がまるで王のように振舞わなければ気がすまない
といった性格なのである。
ジャムカとは全く相容れないーー性格が似すぎていてーーように思える。
野辺の花のようなツェツェクを愛する彼に、ドルマーのような女性を愛することなど
できるものだろうかーーー
驚くべきことに、先に恋するのはジャムカの方で、しかも、つれないドルマーに、周りが
何も見えなくなるほど惹かれていくことになるのだ・・。
ーーその焦がれる想いが伝わってきて、圧倒された・・!![]()
やがて、ジャムカを半ば見下しながらも、次第に彼を意識し始めるドルマーー。
ーージャムカの心から、ツェツェクの存在は徐々に失われていった・・・
