謝りたい人がいます。⑨ 女戦士 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

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ジャムカが帰路を急いだ理由ーーそれは、遠征前の用事を早く済ませ、自分の隊に

再び合流したかったからだ。


すでに一介の兵士ではないーー隊を率いる立場になったため、その責任感からだと、

誰しも思うだろうーーが、実は、そうではなかった。


そこには、ひとりの女性の存在があったのだ・・・



ーー短い期間に目覚しい昇進を遂げたジャムカは、直属の上司と対等に近い立場で

話せるようになっていた。

そして、その上司には、ひとり娘がいた。


が、その姿は、まるで若い戦士と見紛うようなものだった。


前世の記憶 ~Past Life Memories~


ーーー長い黒髪をきりっとまとめ、背筋をぴんと伸ばして騎乗し、所属する男ばかりの

荒々しい部隊のゲルを縦横に駆け巡る。

背はすらりと高く、眼差しは鋭いーーそして

惜しみない美貌に溢れたその姿は、ジャムカに大きな衝撃を与えた・・!


父の新しい部下であるジャムカーーー昇り龍のような出世を遂げた屈強な男を前に

しても臆することなく立ちはだかり、今にも切り殺さんばかりの気迫を漲らせている。


女が戦に向かうことなど考えられないが、女性でありながら、男と対等に戦いたいと

願い、部隊へと押しかけてきた男まさりの娘は、父を悩ませた。


女性は弱く、男性はそれを守るものーーーといった概念を根底から覆す娘の存在は、

ジャムカのある種傍若無人で、常に自信に溢れた性格とシンクロするような、まるで

双子のような関係に見えた。


しかし二人は、出会いの瞬間から反発しながらも、同時にお互いの存在を強く意識

するようになっていくのだった・・・