年頃の娘になっても、ぬいぐるみ様の遊び道具や、お花を使った遊びなど、子どもっぽい遊び
に夢中だったツェツェクが、見知らぬ兵士にひと目でハートを奪われたーー
一方ジャムカは、少女を見初めはしても、クールに振舞う。
ある晩、ゲルから離れたところに立つ一本の木の下で逢おう、とジャムカが告げた。
彼は、先に行って少女を待つーー
そして、少女が来るかどうか、自分の中でひとり、賭けをするーー
しかし後ろで、少女の足音が聞こえても、自ら振り向くことはしないーー
また、例え賭けに負けたとしても、決して負けを認めない・・
青年に恋するようになっても、ツェツェクの生来の幼さーー無垢な心は変わらない。
手作りの花輪や、ぬいぐるみ様のおもちゃを、彼に捧げることが、彼女にとっての愛情表現
だった。
この際も、自ら作ったこれ等を彼に差し出すが、勿論彼が興味を持つことなどなく、テキトウに
あしわれてしまうーー彼女には、あしらわれているといった自覚はないが・・・
ジャムカは、その後、何度も遠征を重ね、その度、ツェツェクの住居を宿にするため戻ってきた。
ーーやがて、兵士は目覚しい出世を遂げることになっていく・・・
