前世を視る場合、依頼者の情報はできるだけ少ない方が良い。
とはいえ、知人や身内なら、情報だらけではないか、と思われるだろうーー
しかし 前世は今生とかかわりのある部分がほとんど無い ため、今生での情報をあまり必要としない。
ーーいろいろ知ってしまうと、返って集中の妨げとなることがあるため、ゼロでもダメだが、多過ぎてもいけない。
依頼者の情報が、前世に関係のあるものだったことで、純粋に視えたものだけを知りたいーーという依頼者の思いを知りながら、勝手にプレッシャーを感じてしまい、導入時点でつまづいた。
ーー視えてくる前世の姿が一体、どのような時代の、どんなステータスの人物なのかーー
最初に視えた、黒いマントの女性も、パニクった頭の中で、
魔女?に見えてしまった・・!
落ち着くまで、暫らく時間がかかったがーーやがて、マントの下に、裾まである白いドレスーーその上が、キラキラ光るレースで装飾された衣装の全貌が見えてきた・・
明らかに、高貴な地位の女性と思われるドレスーー
右手彼方には、白っぽい建物で埋め尽くされた 美しい街並み が見える。
その景色を、馬車の中から見つめる女性ーー
でこぼこした山道を、馬車は何処かに向かっていた・・

