前世の男性は、いくら男が、ご機嫌な笑顔を浮かべても、表情を変えない。
それどころか眉間に皺を寄せたまま不機嫌に黙り込んでいるーー
盗賊
それが男の職業?だ・・
大切なロバに運ばせていたのは、男に頼まれてはるばる運んでくる
男の待ちわびていた 『何か』 だった。
男は見返りとしてーー現代ならまるでおもちゃにしか見えない造りの
金貨
を1枚くれるーー
ーー盗賊の仲間でもないのに、この 金貨のために 手を汚さなければならない前世の男性・・
男性は、そんな男の片棒を担ぐような仕事をする自分が、厭で仕方がないーー
ーー男性のプライドは、盗賊に媚を売るような振る舞いを決して許さなかった。
そしてそれが、男性にできる精一杯の抵抗でもあったのだ・・・
