前世の男性が向かった先は、床に光沢のある、美しい青いタイルを敷き詰めた部屋だ。
そこには、溢れる湯を満たした風呂があり、黒いあごひげを生やした30歳ぐらいの男がひとり
湯に浸かっている・・
ーーー男性の存在に気づくと、その顔に大きな笑みを浮かべた。
早々に風呂から上がった男は、明らかに高価なものと思われる、エスニックで、
それは、前世の男性の格好とは、全く対照的なものだ・・
ーー男は、この風呂が自慢だった。
湯気の立つ熱い湯が、四六時中溢れ出す壁の一部分を自慢の種にして
常々、前世の男性に見せては、得意気になっていた。
白い湯気に満たされたこの部屋は、サウナのような状態を作り出している。
天井は、ドーム状に形作られていたが、何故か剥き出しの岩のままだった。
そして、所々、明かり取り用の細長い窓も設けられている。

