故郷を遠く離れ、米国の大学で学ぶ前世の男性ーー
一方、故郷に残された少女に、恋人を待つ時間はほとんど残されていなかった。
ーー縁談話が持ち上がっていたのだ・・
男性が留学すると知った時激しく動揺したのは、身分違いの恋に終止符を打ちたがって
止まない両親が、時を置かず、身の丈に合う相手を選び、結婚を迫るだろうことを知っていた
からだーー
結婚を間近に控えた15になる少女が、自宅の縁側にひとりぽつんと座る姿が見えた・・
同じ頃、下宿先の家族と親交を深め始めた男性ーー
牧師の娘は、敬虔なキリスト教徒。
父の言いつけで、服装も質素、性格も、まるで日本人かと錯覚するほど、謙虚で
控えめだ。
ダークブラウンの髪を後ろで束ねているだけ、服装もダークグレーもしくは黒っぽい紺のドレス。
けれど、容貌は愛らしく可憐。
日本で待つ恋人のことを忘れたわけではないのに(縁談の事は知らない)
牧師の娘に惹かれてしまう自分がいたーー

