10月22日付中日新聞スポーツ欄
羽生選手の記事より、当然のことながらさらに大きな枠を割いて、優勝した小塚選手の記事がすぐ横に載っていた。
『自己満足で終わりたい』
小塚選手のファンではないけれど、このせりふを見た瞬間、大笑いしてしまったーー!
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小塚の体を突き動かしたのは、SPで驚異的な得点を出した日本のライバルでも、優勝への淡い期待でもなかった。
「自己満足で終わりたい」
順位に関係なく、揺らいでいたトップスケーターとしての自身を取り戻そうとする思いが大逆転劇につながったーー
中略
昨季は靴のトラブルに加え、大学院での勉強に練習の時間を取られた影響で不振に陥った。
中略
もたついている間に、世界選手権で弱冠17才の羽生が銅メダル。織田信成も復帰し、立場は益々危うくなった。今季はソチ五輪を見据え、勉強はひとまず封印し、靴も予備を周到に用意。「毎日の練習で何か一つつかんで終える。」と練習に取り組む意識も変えた。後略
というもので、苦しんだ末に思いついた、我に捉われない、無欲とも思える心情が、上記のせりふによく表れている。しかも、応援してくれた皆さんのためにがんばるーーみたいな、あらゆる種目で活躍するアスリート達がよく口にする、体裁のよい修飾語は一切無しで、堂々と宣言しているところが痛快でーーだから笑ってしまったのだが・・
自分を殺し、人の為、誰かのため、ひいては国家のためetcetc.. という諸々の思いは、美しいかもしれないけれど、重圧を生み、自らを鎖でがんじがらめにしてしまう厄介なものという一面を持ち合わせた
諸刃の剣 ではないだろうかと考えさせられる。
ーー勿論、応援が力をくれる可能性を否定しているわけではない。
小塚選手の記事と対照的ともいえる羽生選手の記事が、以下のタイトルで載せられている。
羽生 重圧の鎖
目に見えない鎖が絡まったかのように動きが鈍く、硬かった。前日のSPで世界歴代最高点をマークし、優勝確実と思われた羽生。
持ち味のジャンプをことごとく失敗し、まさかの2位となった。
『他の選手に目がいったりイライラしたり。いろんな感情が交じって集中できなかった』
本番前の6分間練習。雑念に支配され、まともな精神状態ではなかった。
冒頭、2種類を予定した4回転ジャンプでいずれも転んだ。その後も着地で手を付き、連続ジャンプは単発に。SPでは全5項目で8点以上の評価を受けた演技構成点も3つが7点台だった。
『最悪に近い。練習でもなかなかない。』
と悔やむ。
まだシニア3年目の17才。ジャンプを武器に爆発的な力を出せる一方、演技にむらがある。3位だった今年の世界選手権もSPは7位。観客の期待を一心に集める状況で、冷静さを失う弱点を克服しきれていない。
次戦は地元の宮城県で開かれるNHK杯。
『相手が誰だろうと勝つ。身を削るようにして頑張る』
ぶざまな姿は見せられない。
『めっちゃ苦い』
と表した貴重な経験を糧に、故郷では表彰台の一番高い場所を狙う。
(対比地貴浩)
~まだシニア3年目の~~あたりの内容は、今の時点でそんなにゆづにいろいろ望んでも無理だろう~と言いたいが。
17才という年は、これくらい勢いがあってちょうどいいのだろう。
突っ走って突っ走って、コケて、それでも走るーー
今のゆづは、そうでないといけない。
ーーコケる姿が見たい私としては・・・
で、それでもスランプに陥るような時があるとしたら、小塚選手式ーー
自己満足で終わるつもりーーも大事かな、とは思う・・


