前世で暮らしていたと思われるオランダーー
この前世を見るまでは、オランダという国にも、黄金時代の画家達にもほとんど興味を抱くことはなかった。
しかしこの前世を見てから、オランダの歴史などを調べ、また、偶々、夫の赴任地だったということで、その方面からも情報を得ていくにつれ、それまでほとんど知識のなかった、そして身近に感じることもなかったオランダという国の、良い意味での オリジナリティー に惹かれていくようになった。
その 『オリジナリティー』 とは、私が見た前世の映像と、夫が実際見聞きしたものとを照合する過程で発見したものだ。
ーー前世の男性が高位の職にありながら、一介の農民と全く同格に相対する姿、加えて驚くべきことに、映像に登場した農家のオバサン~50歳ぐらいだろうか~は、高位の男性に対して下手に出るどころか、男性を上から目線で見ているようにも感じられるーー
実際に上から目線ではないのだろうが、そう思わせるほどの堂々とした態度でいる。
それでいながら前世の男性は、村人達ととても風通しの良い関係を築いている・・・
夫に説明しながら会話する中で、映像の独特な 空気感 を表す適当な表現を捜していた時
『平等』 という言葉が、夫の口から出たーー
身分の差が明らかに存在するにも拘らず、平等な人々の関係があると言う。
ーー実際、現代のオランダも王国であり、ベアトリクス女王の存在があるーー
ーー夫がその言葉を口にした背景には フリューゲル に代表されるような、オランダ絵画も大きく影響していた。
ーー画家達が描いた被写体に、一般庶民が多かったこと、それも、気取らない、庶民目線の姿をあるがまま描いているーー
The Land of Cockaigne (怠け者の天国) 1567年、アルテ・ピナコテーク所蔵
Pieter Bruegel the Elder
同時代の隣国などにはなかった絵画群。
フェルメールも、人々の自然な瞬間を捉えていて、決して、お上からの目線で描いてはいないーーー
ーー当時のヨーロッパが、フランス、イギリスなど、君主が君臨し、富を独り占め、封建的で下層階級が虐げられるーーような社会を思い浮かべるのに対して、オランダは、私の目に映った前世の印象も夫の印象も、今から300~400年も昔の社会とは思えない、現代だといっても差し支えないほどの
のびやかで平等な社会
に映ったという点で、ほぼ一致していたーー!
ーー私自身、この言葉を聞いた瞬間、これ以上に見えた映像を的確に表現できる言葉はないーー
と思ったほどーー
そしてこれこそが、オランダに魅力を感じた大きな理由だった・・