その部屋には正面にテラスがあり、景色を眺望できる。
壁、天井、床からテラスまで、総て白で塗りつくされた建物は、湿度がとても高く蒸し暑い気候を、少しでも和らげるための工夫だろう。
中央に置かれたカウチには、テニスウエアを着た若い男性がまどろんでいるーー
運動に疲れ、着替えることもせず横になった前世の男性は、私の兄だった・・・
ーーこの始まりを見て不思議に思ったのは、以前兄の 一つ目の前世 を見た時も、何故か
『白』
が登場したからだ。
自分以外の人の前世を見ていて、何故か毎回同じ 色 が登場してしまう人がいる。
ーーひとつ目の前世で、青の衣装を着ていたとすると、次の前世で再び、青色にまつわる何かが登場したりするなどーー
偶々だろうけど、私自身や、夫の前世など何度も見ているが、そういった 繰り返し はないので、無視できない感はある・・・
金髪で 英国人 と思われる前世の男性は、母国ではないアジアのとある国に、祖父に招かれて滞在している。
祖父はこの国で営む事業に成功して富を得、孫である前世の男性も、働かなくても暮らせていた。
ーー前世の男性は、しかし、贅沢な暮らしと引き換えに、若者らしい将来の希望や目標を見失ってしまっていた・・
