手の中に握り締めた銭貨は、旅の資金であり目的地でも必要とされるものだったのかーー
おつかいを頼まれた子どものように、大切な銭貨をずっと握り締めて旅をするーー
その汗ばむ手の感触ーーポケットになるようなものがなかったのかーーしっかりと
手の中に在るその感触に、親に厳しく言われ失くさないようにしていると思われる
子どもらしい真剣さや緊張が伝わってきた。
ただ、短い旅でなかったと思われるのは、季節の変化だ。
ーーー少女の笠には雪が降り積もっていた。
一面の銀世界は、睡魔に襲われる少女の、まだある意識の中の
夢と現実の境を徐々に失くしていく・・
雪の中、歩き続ける少女は、夢を見たまま音もなく倒れたーー
少女の顔に降り注ぐ雪ーーーその顔には幸せそうな笑みが浮かんでいた・・・
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その瞬間、少女には、恐怖も苦痛もないーー
そして、穢れのない美しい心のまま短い人生を終えている。
私にとって、彼女の前世はタイトル通り、あまりに 『印象的』 だった。
花祭り と思われるイベントに出くわした時の純粋で清冽な喜びの感情ーー
自然(星空、雪景色)の 美 に対する強烈な感覚ーー
そして、死が迫ってさえも、常に前向き?で、楽しいと思う感情が
最後まで途切れることなく続いていたこと・・・
哀しみも苦しみもあったかもしれないのに、それを心の苦しみにすることがない
短いけれど、素晴らしい人生だと思えたーー

