記憶を辿る① | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。




大抵の場合入り口にあるATMしか利用しない銀行に、用事で店内にまで入ることになった。


番号札を取り、待合の椅子に腰掛ける。


子ども連れを含む女性客の多い店内をぼんやり眺めていると

2~3才と思われる幼い男の子に目が止まったーー


手前のベンチソファーに両肘を付き、可愛らしい顔でしきりと高窓を見上げている。


ーー春というのに、冬のような寒さが続いているせいか、男の子は上品な紫の

ロングコートを着せられていた。


前世の記憶

母親は自分の用に忙しいらしく、側には居ない。


男の子の方も、母がいようが居まいがおかまいなく、暫く高窓を眺めた後

ひとりでATMの方に向かった。

途中、やっと届く高さのカウンターテーブルに一度手を乗せたが、またソファーに戻ってくる。


そして再び、他のものには一切目もくれず、視線を斜め上に向け、その高窓のみを

眺め始めたのだ。


ーー高窓とは、白い壁に囲まれた銀行の、天井近くに設けられた明かり取りの窓だ。

特に幼児の興味を引くような、特別なデコレーションを施されたものではないーー

白枠に縁取られた四角い窓で、透明なガラスをはめ込んだものが横一列に

並んでいるだけ。


前世の記憶


ーーー私が何も感じなければ、ただただ愛らしい男の子だとしか思わなかっただろうーー


けれど、最初に男の子を見た瞬間から、その仕草があることを意味している

と直感してしまったために、通常の感覚では見られなくなってしまっていた・・・