父は、晩年病に苦しんだ。
祖父からダメ長男の烙印を押されていた父を敬遠し、病を患ってさえも
めったに実家を訪れることのなかった兄弟姉妹のうち、ただひとり
弟(次男)だけが遠い他県に暮らしていたにも拘らず、何度も実家を訪れ
父の面倒を見てくれていた。
口には出さなくとも、兄を一番心配していたーー
ーー前世で見えたことは その叔父が 領主
そして息子が 祖父
というもの。
幾何ができなかった息子が、大学教授になり
趣味で数学を楽しんでいた領主は、努力して帝大に入学。
数学の教師だった父は(実際教師だったが数学ではない)落ちこぼれーー
まるで全ての立場が逆転したようだーー
ただ、父と弟の関係では、前世を引き摺っていたかのような絆がある。
祖父に関しては、2度とも父を苦しめる(鍛える?)関係となっているーー
自分の前世を見ていてすら、登場人物の今生との関係性を知ることが難しいのに
今回の前世では、当たっているかどうかはわからないが、いとも簡単に
見えてしまった。
まだまだわからないことばかりである・・・