以前 足軽 のような姿が見えた。

ーー戦の途中、何故かひとり城に戻っている。
廊下を駆け、隠し扉を抜けると
階段を上り詰めたところに
武器庫のような部屋がある。
そこから何か(軍旗のようなもの?)
を掴むと、急いで来た道を戻るのだーー。
戦は負けーー
生き延びて振り返ると、城は炎上・・
そこまでしか見えなかった。
日にちをおいて、再び見てみると
夫の前世が、足軽という身分でありながら
主君の前に跪き、懇願している。
城を出て、“逃げるようにーー” と。
殿様は、いかにもお坊ちゃま然とした
うりざね顔で上品な男性だ。
着物が、やたら派手だった。
城に残れば、確実に死を覚悟しなければならない。
必死に逃げるよう促す夫の前世を前にして
殿様は、どこ吹く風。
日常とまったく変わらぬ態度で
ーーもちろん、戦のことは百も承知だーー
慌てる様子など微塵もなかった・・・