京都の勤め人⑤ 芸妓へ届ける結界の内で書きしたためた恋文を 頼まれた贈り物と共に芸妓へ届けることになった。 長二郎自身、その芸妓が美しいこと 人気のあることを認めている。 代理のお使いをするうちに 恋心は芽生えたのであろうか・・? 残念ながら、長二郎は自分の育ち、 身分をしっかりと自覚し、わり切っていたため 恋に落ちることはなかった。 恋文と、託された贈り物である かんざしを手に、変わらぬ黒い前垂をしたまま 柳が並ぶ川沿いの道をひたすら急ぐのだった・・・