15,6才位の少女が、テントから
外の景色に見入っている。
眼前には、茶色の大地と草原が広がっていた。
青い、何処までも続く空ーー
さわやかっ・・・・!
少女が草原に飛び出した瞬間感じたのは
あまりに澄んだ、爽やかな大気だった。
少女は、ロシアのコサックが着るような衣装を
身につけ、後頭部に丸い帽子を乗せていた。
三つ編みにした黒髪は長く、腰のあたりまで
伸びている。
名前を
ハンナ
と云う。
テントの外に出るとすぐに、白いやぎ(もしくは羊?)
の大群が犇めいていた。
傍らには、日焼けした肌に深いしわが刻まれてはいるが
健康そうな姿の老人が椅子に腰かけ
パイプをくゆらせつつ、山羊の集団を見張っている・・・
この情景、そしてロシア人風の衣装から推測して
この前世は
中央ユーラシアの遊牧民
ではないだろうかーー
