北国の孤独⑥ コウの死 | 前世の記憶 ~Past Life Memories~

前世の記憶 ~Past Life Memories~

占い師や精神科医に頼ることなく、自力で前世を蘇らせる方法。

他 映画、音楽、スポーツ関連記事も書いています。

小平太の無邪気な笑顔を見た。


困窮した生活の中にあっても、時に

平和な瞬間があったのだろうーーー


そして、側にはいつもコウがいる・・・



けれど、不作は

満足に食べることを許さないーーー


食事を与えられないで

ガリガリに痩せ細ったコウが

小平太の帰りを待ちわびていた。


おなかをいっぱいに膨らませることなど

到底不可能な量の餌を

ガツガツと、一心不乱に食べ始めるーーー


自分も長い間、満足に食べていないーー

おなかの空いたコウの気持ちは死ぬほど判る。

自分に対して献身的に尽くしてくれていることも

痛いほど判っている・・・


なのに、今の自分には何もしてやれない

ーーー小平太は自分を責めた



だが


コウは死んだーーー




小平太は、コウの亡き骸を

冬の朝、氷の張った湖に沈めた。


コウの死という、悲惨な状況にも拘らず

湖の景色は、あまりに美しいものだった・・・



前世の記憶