小平太の無邪気な笑顔を見た。
困窮した生活の中にあっても、時に
平和な瞬間があったのだろうーーー
そして、側にはいつもコウがいる・・・
けれど、不作は
満足に食べることを許さないーーー
食事を与えられないで
ガリガリに痩せ細ったコウが
小平太の帰りを待ちわびていた。
おなかをいっぱいに膨らませることなど
到底不可能な量の餌を
ガツガツと、一心不乱に食べ始めるーーー
自分も長い間、満足に食べていないーー
おなかの空いたコウの気持ちは死ぬほど判る。
自分に対して献身的に尽くしてくれていることも
痛いほど判っている・・・
なのに、今の自分には何もしてやれない
ーーー小平太は自分を責めた
だが
コウは死んだーーー
小平太は、コウの亡き骸を
冬の朝、氷の張った湖に沈めた。
コウの死という、悲惨な状況にも拘らず
湖の景色は、あまりに美しいものだった・・・
