北海道に似た風景の中でひとり暮らすこの男性は
小柄で中肉中背ーー
顔も、松五郎のようなイケメンタイプ(?)ではない。
むしろその逆ーーー
名を
小平太
と云う。
天涯孤独と思っていたこの男性
コォ、コォーーー!
と呼ぶ母親の声を聞いた。
広い大地の真ん中で、いったいどんな事情が
彼をひとりにしたのかは判らない。
着のみ着のままの粗末な着物ーー
来る日も来る日も、生きるために田畑を耕す・・
ひとりでするその仕事は過酷だった。
孤独と、仕事の辛さに耐えかねて
自殺すらしかねない環境で
小平太が、気楽な鼻唄さえ口ずさむことができたのは
ひとつには、それを深刻に捉えない性格
ーー江戸時代の松五郎にも、何故か共通していること
なのだが、現世の私と真逆なのは不思議なことだーー
とにかく、楽天的ーー
ーーそれと、彼を陰に日向に支えていた
コウ
(自分の呼び名をそのままに名づけたらしい)
という、小さな犬の存在だった。
こんな感じだが、耳が立っていて
短い尻尾も細く、立っている。
(犬のことはあまり詳しくないので
上手く選べなかったかも・・・)
尻尾を振って一生懸命、小平太に声をかけて
(?吠えて)いる姿が見えた。
小平太も、コウをとても可愛がっている。
この コウ が小平太の前に現れたのは
本人が、まったく知らないある事情によるもの
だったことが何故か私には判った。
しかし、前世を生きていた当時の私は
そんなこと知る由もなかった・・・