ターニャの愛称で呼ばれていた少女は
成長し
タチアナ
と呼ばれる、大人の女性になっていた。
菓子を求めたのと同じ坂道を
友人と並んで教会に向かっている。
その途中、19になるタチアナは、
言い寄る男性批判を、友人に
早口でまくし立てていた。
美人だが、小生意気な女の子ーーー
帰り道には、街を横切る大きな河がある。
自宅からも遠くない、この広い河には
大きな橋が掛っていた。
ーー夕暮れには、上空が茜色に染まり
鳥の群れが、ざあーっと飛んでいく・・・
氷が張ると、スケートができたーーー
季節や、時の移る度表情を変える
河を見るのが子供の頃から好きだった・・・
ーーーそんなタチアナの前に
ひとりの将校が現われたーーー

