遠藤は、生方より年上だ。
ヘンな関係ではないにしても
好奇心をくすぐられる・・
ーーー隠密である年若い生方を
剣術を嗜む武士崩れの男が
道中、用心棒としての役割を担い
旅の伴をするーーー
まるで、ドラマのような筋書きを連想させる。
生方は、人に人相を見られないように
三度笠を目深に被っている。
着くずれて、ラフな格好の遠藤とは対照的に
紺にかすりの模様があしらわれた
仕立ての良い着物を、きちっと着こなしている。
密命を帯びて、遠国を視察する旅とすれば
それが、二人組ですることもあったのかどうか
はわからない。
しかも、浪人など雇うだろうか・・・?
ところで、生方の被っている笠について
映像で見た時は、こんな笠、男が被るものだろうか
女の被るものではないかーーーとの疑問が湧いた。
さっそく調べてみると、
三度笠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ーーー股旅ものなどの時代劇 で渡世人 が被っている印象が強いが
もとは江戸 、京都 、大坂 の三ヶ所を毎月三度ずつ往復していた
飛脚 (定飛脚)のことを三度飛脚と呼び、彼らが身に着けていた
ことからその名がついた。
女性用は紐は後のほうを輪にして髷の下にかけ、
頤の下でむすんだが、文化ころにはすでに
女性用として用いられなかったーーー
と書かれている。
貞享(じょうきょう)年間(1684年~1687年)
に初めて製作され、文化(1804年~1817年)
頃までということなので、この前世の時代が
貞享以降であることは間違いないのだが・・
この謎に満ちた日本の前世を
まだしばらく見ることになるーーー
