ローザに関する前世の記憶は、しだいに見えるもの
がなくなっていった。
そんな頃、不思議な話に昔から偏見の無い実兄に
前世の話を打ち明けてみた。
そして、例の地球儀のようなものの形状を説明したうえで
何だと思うか尋ねてみたところ
即座に
『天球儀だ』
という答が返ってきた。
兄の蔵書の中に天球儀の絵があった。
ただ私が見たものとは違っていたので
ネットで調べ、下のような画像を見つけた。
私が見たものは、このように球体に模様が描かれており
(どんな模様かは判らなかったが、地球儀のように
輪郭のはっきりしたものでなかったことは確かで
もやもやとした線が描かれていた)これに近い。
読み進めていくうち、冒頭の部分で驚いた。
マクシミリアンの父、フリードリヒ3世は占星術に凝っており
フリードリヒ3世
夜になると学者たちと星座を観測しあい
その位置について語り合ったーーー
という記述があったからだ・・・
占星術とは、星の位置や動きから占いをするというもの。
天球儀の歴史上最古の記録は古代ギリシアの時代で
ルネサンス期(14~16世紀)にヨーロッパに広く普及したそうだ。
時代的にも相違しないこれらを総合すると
謎の物体は天球儀に違いないと確信した。
『皇帝マクシミリアン一世伝』を読んで
天球儀や、マルガレーテなどの答え合わせ
をした結果、前世に関する謎がいろいろと解明された。
ただ、これが事実であるとかそうでないとか証明はできない。
私の妄想や願望の現れであるのかもしれない。
ただ、このことをきっかけとしてその存在を知ることとなった
マクシミリアン1世という人物の伝記を読んで
その人となりに大きな感銘を受けたことは確かだ。
多分、ローザは、マリーと結婚してから後の
恋人の人生を詳細に知ることはなかっただろう。
もし、本当に私が彼女の生まれ変わりであったとしたなら、
500年後に、こんな形で知ることになろうとはその時点では
思いもよらないことだったろう・・
それでも、それは決して悪いことではなかったのではないか、
と、ローザの気持ちになれば、そう思う・・・


