現世で自分の姿を自分では見られないのと同様
前日までは、見下ろした足元とか、恋人の姿など
自らの視線を通して見ることのできる景色だけを眺めていた。
しかし、この日は初めて前世の姿を外側から見ることができた。
木々に囲まれたお城の裏側(緑の前面の反対側)を
ヘリコプターで低空を旋回しながら眺めるような位置から
お城の全体像が、空からの俯瞰で見える。
バルコニーにひとり立つ自分は、腰のくびれた
黒っぽいドレスに身を包み、黒い髪を頭部で束ねていた。
顔立ちは、現在の自分とは似ても似つかぬ西洋の人の顔。


場面変わって、門の前にランビエール似の恋人が
甲冑に身を包み、馬に跨っている。
どこかへ旅に出るらしいことは判っていた。
前世の私はそれが悲しくて仕方がない。
行ってほしくないと訴えるが、恋人は去っていってしまう・・
何のための旅立ちなのかーーー
ただただ、行ってほしくないと必死にすがる自分がいた。