逆説の日本史 | ¡Viva ワイン!

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逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎 (小学館文庫)/井沢 元彦
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ご参考までにアフィリで貼りつけましたが、こちら、小学館発行の『週刊ポスト』に連載されておりまして、ある程度まとまると単行本として出版されます。それから3~4年経つと小学館文庫になるので、私は文庫化を待って買っています。


現在、単行本として出版されているのは第17巻の『江戸熟成編』まで。文庫本になっているのは第13巻の『近世展開編』までで、江戸幕府と鎖国に関して論じられています。単行本を買って読めばいいんですが、本棚のスペースも限られているし、第1巻から文庫で買ってしまったこともあって、単行本が出てからもひたすら文庫化になるのを待っています。


『逆説の日本史』の作者は、作家の井沢元彦氏。『猿丸幻視行』で1980年に第26回江戸川乱歩賞を受賞しています。古代史が好きな私が氏の作品を読んだのは、勿論この『猿丸幻視行』が最初。その前にも『いろは歌の謎』(篠原央憲氏著)にどっぷりハマってしまっていて、その他にも『水底の歌』(梅原猛氏著)にも随分思い入れをしました。


今日は『逆説の日本史』の話なので、他は置いておきますが、この井沢元彦氏、歴史学者など学会からは総スカンを食らっているアウトローです。まあ、勿論、作家という立場なので、学者でないといったら話は簡単なのですが、史実に基づいていないとか、文献が残っていないなど多数の批判は多いようです。


彼が尤も得意とするキーワードは「言霊」「怨霊」「穢れ(けがれ)」などなど。特に古代では、当時の指導者のトップが現代の科学と同様のレベルでこれらを活用していた、と。まあ、作家なので文章の運びも良く、説得力のある書き方をされています。批判される方のご意見も分からないことはないのですが、井沢説も一理あるなあと、納得しています。


第13巻は時代も古代ではなく、近世に近くなってきたので、お得意の「言霊」「怨霊」があまり出てこないのでちょっとつまらないのですが、最初、大名達はキリシタンを認めていて、伊達正宗が支倉常長をヨーロッパに派遣したり、天正の少年使節として派遣された4人の少年達はスペイン国王やローマ法王に謁見して帰国しているのです。


それが、秀吉によるバテレン(キリシタン)追放令や、後に家康によるキリスト教禁止令で日本は鎖国政策を取ることになるのですが、長崎の出島だけは開放して、オランダ船だけとの貿易を行います。


これは、当時のカトリック(スペイン・ポルトガル)王国が貿易と同時に宗教を広めたのに対し、これに対抗するプロテスタント(オランダ・イギリス)は布教をしないことを条件に、当時台頭していたカトリック王国の世界制覇を阻止すべく、日本との貿易を始めた背景があったようです。


歴史に「たられば」はないのですが、もし家康がカトリック王国との貿易を布教も含めて認めていたとしたら、日本もフィリピンの様に一時的にスペイン語を話していたかも。


そんなことを考えながら読んでいました。