静まりかえった街の喧騒に

ここは違う何処かだと

僕の視覚は誤解した


ゆっくりと大通りを渡る野良猫に

穏やかな視線を送ってみるも

物凄い形相で睨み返されたりした


待ち行く人の顔はそれぞれで

すがすがしい顔をしていたり

不幸のどん底みたいな人もいる


重い目を擦ってふらふら行けば

眩しい朝日の光が目に染みて

なんだかチョッピリ泣けてしまった

いつまで続くだろうか
答えのない道のりは
いつまで守れるだろうか
その道を歩く時の笑顔を

サラサラ流れる川の脇道
控えめに続く消入りそうな道しるべ
誰かが言った言葉に耳を傾けて
フーンと感心しながらその場を去る

身体を覆う生温かいものを
薄気味悪く思いつつも
妙に安心するその温もり
焦点のずれた写真の如く

素直に生きるというプレッシャーを
全身に浴びながら歩いた道は
おかしいくらいに曲がりくねっていて
自然な形の川になっていた

空に伸びる雲を見て
どこまでもいけるさと思った

はらりと流れた涙に
まだ大切なものを忘れていないと思った



二人で夜道を歩きながら
まだ結構寒いねなんて言ってたあの頃

花粉症で涙する君が
とても愛しく思えた



見上げた空に月が見えた
あの時と同じような月を

大空のプラネタリウムが
ちっぽけな僕を見下ろしていた



流れた月日が
映画のハイライトのように

忘れてしまった温もりが
電気ヒーターに変わる



もうすぐ春がやってくる
暖かい陽気にぼんやりとした気分

蝉の鳴く季節に
懐かしさと期待を抱く



繰り返していく
君のいない同じ季節を

なぞっていく
君と一緒のあの季節を