無断で動物病院に猫を置き去りにした人から学ぶこと  | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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動物病院や保護施設に、猫を捨てていく人が絶えません。

 

猫を大事にしてくれるだろう

 

と安易かつ身勝手な気持ちで捨てていくのでしょうが、

 

捨てられた方は、ある日突然、心構えもないままに、命を預けられることになるのです。

 

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ちょうど1年前に、うちの病院にも捨てられました。

 

朝5時10分・・・

 

わざわざ人気がない時間帯を見計らって、

 

こんな手紙まで添えて・・・

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どんな勝手な人がしたことだろうか・・・

 

 

 

このとき捨てられたことを書いた記事がこちら

子猫を無断で病院に捨てる人はただの偽善者と言いたい

 
 
 
 
捨てられた2頭のうちの1人はすぐに亡くなってしまったのですが、
 
助かった1人は、『目が見えない』という障害をもっていて、
 
結局うちで飼うことになったのですが、
 
彼が病院で保護されて、昨日でちょうど1年だったわけです。
 
 
 
 
不思議なことに、
 
寅次郎が来てすぐに、たまたま開催された『補助犬』のイベントがあり、
 
一緒に参加したのを覚えています。
 
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まるで目が不自由な寅次郎が、私たちと関わることが決まっていたかのように・・・
 
 
 
 
目が不自由なのにもかかわらず、
 
寅次郎はとっても前向きでプラス思考。
 
 
たくさんの人に愛されて
 
たくさんの人に勇気を与え
 
1年を迎えました。
 
 
 
 
未熟児だった彼は、
 
スタッフの献身的なケアにより、命を救われたわけですが、
 
体は弱く、最初の頃はとっても心配でした。
 
 
体も小さくて、痩せて、毛もそぞろで・・・
 
 
 
 
でも・・・
 
私たちの心配とは打って変わって、
 
 
ひげや他の感覚を上手に使って階段を上り降りすることを覚え、
 
 
先住猫のれんげと取っ組み合いをしてみたり
 
階段の手すりや洗濯機の上に乗ってみたり
 
普通の猫のように過ごせるくらいになりました。
 
 
 
 
それは、なんといっても、
 
彼の前向きさ、プラス思考のおかげ
 
と思っています。
 
 
 
 
もしも彼が
 
「目が不自由だし、普通に生活するのなんて無理だ・・・」
 
と決めつけて、
 
後ろ向きな考え方であれば、
 
きっと階段を上り下りすることも、
 
他の猫と取っ組み合いすることも、
 
階段の手すりや洗濯機の上に乗ることも、
 
チャレンジすることなんてなかったと思うから。
 
 
 
 
 
そして同時に、
 
私たち家族が、
 
絶対に不自由なことを不憫に思わなかったこと
 
寅次郎ができるレベルでは決して手をかけなかったこと
 
もあるのだと思っています。
 
 
 
自分で乗り越ってほしいと願ったから、
 
自分でできることをたくさん見出してほしかったから、
 
彼がめげないうちは、決して手出しはしませんでした。
 
 
 
もしも私たちがあれこれ手伝ってしまっていたら、
 
彼が自立しようという思いを失ってしまったかもしれません。
 
彼の向上心を打ち消してしまっていたかもしれません。
 
 
 
 
 
チャレンジして失敗することもたくさんありました。
 
怖い思いも、
 
痛い思いも、
 
たくさんしました。
 
 
それでも、めげることなく、
 
何度も何度もチャレンジする前向きさがあったから、
 
普通の猫と同じように生活できるようになったのだと思います。
 
 
 
 
ある日、仕事から帰ると、
 
ぐったりして、呼吸が速くて、ご飯も手をつけず、引きこもっているときがありました。
 
 
あんなにパワフルな寅次郎が・・・
 
 
今思い返してみたら、
 
階段の手すりにジャンプしそびれて、2階から転落したのだと思います。
 
 
そんなことがあっても、
 
手当をしてもらった寅次郎は、翌日にはケロッとして、
 
心配で涙した私のことなどそっちのけで遊んでいたことを覚えています。
 
 
 
そんな大変な思いをしていても、
 
何度もトライする寅次郎の前向きさに、
 
私はたくさん勇気も元気ももらってきました。
 
 
 
 
 
体が不自由な人が近くにいなければ、
 
きっと不自由さは考えることなどないでしょう。
 
当たり前に感謝をすることってなかなかないから・・・
 
 
 
だけど、
 
体が不自由な人が、寅次郎のように、
 
他の人と同じように自立して生活したい!
 
という思いをもっていることを私たちはもっと理解しなければならないと思っています。
 
 
 
誰かに頼ることなく、一人で生活できるように・・・自立したい
 
という思いで、
 
『補助犬』を迎え入れたい
 
と思う障害者の方もいらっしゃいます。
 
 
 
でも実際は、
 
『補助犬』同伴だと受け入れられない
 
と断る飲食店やホテル、施設がまだまだたくさんあります。
 
 
補助犬の受け入れが法律で義務付けられていても、
 
その法律を知らない人が多くて、
 
『補助犬』の受け入れ拒否はまだまだたくさんあるのです。
 
 
 
 
寅次郎のように、
 
前向きに、他の人と同じように生活したい
 
とトライしているのに、
 
辛い思いばかりで前に進めない
 
というのは、悲しすぎると思うのです。
 
 
 
そんな世の中であることが残念でなりません。
 
 
 
もっともっと『補助犬』への理解を深めてほしいから、
 
私は今年もイベントを開催します。
 
 
イベントタイトル  『働く犬(補助犬)を知っていますか?』

日 時  10月14日(日)16:30~17:00

場 所  イオンモール鹿児島(東開町) 風の広場(H&Mの前)


内 容  聴導犬アーミのデモンストレーションと手話シンガー安藤一成による手話ソングを披露します。
     鹿児島では、聴導犬アーミ初お目見え!!!デモを誇らしげにするアーミの様子をご覧ください

<追加情報>  
10月15日(月)14:00〜14:30    
                  16:00〜16:30      同会場にて追加イベントさせていただきます。
 
 
 
去年小さかった寅次郎と一緒に参加した『補助犬』普及イベントです。
 
 
 
 
冒頭でもお伝えしたように、
 
彼が奇跡的に参加したのには理由があって、
 
彼の前向きさ
 
彼の体が不自由であることに対する思い
 
彼の生き方
 
すべてがこの私たちの『補助犬』普及活動の目的と重なっているのです。
 
 
 
不思議ですが、
 
寅次郎の存在そのものが
 
私たちが抱いている願い、そしてカタチ
 
だと思っています。
 
 
彼が実現してきたこと
 
それを私たち人間でも実現したいのです。
 
 
 
そして、
 
彼の存在によって、私の思いが膨れ上がったのが、
 
『野良猫の避妊去勢活動(TNR活動)』
 
です。
 
 
 
人間の都合で『避妊去勢手術』をするのはかわいそう
 
と言われる方もいらっしゃいますが、
 
寅次郎のように望まれずに産まれた場合、
 
身勝手な飼い主によって放棄されるのです。
 
 
 
動物病院や保護施設ならまだしも、
 
海や川に捨てられることだってあります。
 
 
 
『避妊去勢手術』を受けていれば、そんなことされることなんてなかったわけです。
 
 
 
そして、
 
未熟児に産まれたのにもわけがあるはず。
 
 
しっかり母猫が育てられていたのか
 
何度も何度もお産している母猫だったのではないか
 
近親交配で生まれた子だったのではないか
 
 
いくつもの問題点が挙げられるのです。
 
 
『避妊去勢手術』を受けていれば、そんな事態は免れたわけです。
 
 
 
 
寅次郎のように不幸な子が増えないように、
 
寅次郎と出会う前以上に、『野良猫の避妊去勢手術』に熱を入れるようになりました。
 
 
 
そして、寅次郎が捨てられて1年だった昨日、
 
私は宮崎で『野良猫のTNR活動』をしていました。
 
 
寅次郎がおうちに来た記念日に、
 
『TNR活動』に関われたことを本当に嬉しく思っています。
 
 
 
 
32頭の猫ちゃんたちに『避妊去勢手術』をしたですが、
 
まだまだ足りない・・・長い道のりだと思っています。
 
 
でも、小さな活動でも、コツコツすることで、
 
いつかきっと形になると思っています。
 
 
 
置き去り事件から1年・・・
 
この2つの願いがいつか形になりますように
 
改めて強く思いました。
 
 
みなさんにも、この思いが伝わりますように…