代診時代に、
「自分の得意分野を見つけなさい。」
と院長から言われてました。
どういうことか?
皮膚が得意な先生、
循環器が得意な先生・・・
何かに長けてるとなれば、やっぱりそれを頼りに来る患者さんが多いでしょ?
だから、
自分の得意分野を見つけて、
それを一生懸命勉強して、
誰よりも自慢できるようになりなさい。
ということだったのです。
自分の売りを見つけるということ。
私は・・・というと、
自分が特別に興味があることってなくて、
どれもこれもまんべんなく興味があって、
なんでもかんでもやり尽くす、調べ尽くすのが好きでした。
だから、これ!という得意分野が見つからなくて・・・
すごく頭を悩ませていたものでした。
リハビリだけは、他の人よりも興味を持っていたっけ・・・
でも、リハビリを率先してやっている病院はなかなか少なくって、
学ぶとしたら海外がメインだったのでした。
(今もまだ日本では少ないですよね)
あとは、手術のとき、縫合がとりわけ大好きだったり。
ちょっと変わってる・・・
綺麗に傷口を縫うこと
縫ったあとがわからないくらい綺麗に傷口を整えて縫うこと
が好きでした。
そして、
それが綺麗に治っていくのをみて満足するのが好きでした。
やっぱり変わってる・・・
どうやったら綺麗になるか?
それを目標に代診時代手術するときは一生懸命心がけてたっけ・・・
まぶたや目の縁ギリギリにできた腫瘍やイボをとって、
失った皮膚の部分を、周りの皮膚を整形して、元あった目の状態に近づけたり、
大きな腫瘍を取り除いて、
皮膚を移植して綺麗に整えたり、
乳腺腫瘍や皮膚腫瘍を取り除いて、
大きく開いた傷口をひたすら綺麗に縫い合わせていったり、
そういう縫合に関しては、
とりわけ大好きで、
とりわけこだわっていたりします。
ちょっと見れないという人は、
下記の写真の部分だけスルーしてください。
(これは先日オペした子のもの。足先に大きな腫瘍ができてたのですが、取り除き、綺麗に整形しました。)
飼い主さんは、最初断脚するしかないと言われていたようで、
断脚しないで済んだことを大喜びされていました。
断脚しないで済むのであれば、そっちがいい
と思う飼い主さんも多いはず。
これは、腫瘍が足先全体まで広がっていなかったので、
腫瘍を取り除いて、皮膚を整形することで免れた例でした。
(これがオペ後1週間。抜糸して傷もわからない程度になりました。)
すんごくじみ〜な部分でしょうが、
綺麗に傷口を仕上げるのが大好きだったりします。
自己満の世界ですが・・・
すごく痛みに敏感な子や神経質な子は
なかなか傷を気にすることを防ぎきらないけれど
ほとんどの子たちには対応できると思うのです。
(神経質な子はどれだけケアしても、やっぱり気にして舐めちゃうんですよね)
もちろん手術後の痛みがあるにしても、
術後の子達の様子を見ていると
微妙な糸のつっぱりや皮膚の違和感を気にして
舐めたり引っ張りすることが多い気がするのです。
あまり違和感がない感じに縫い合わせてあげると、
普段通り生活できる子が多い気がします。
痛みに関しては、痛み止めの薬を使うことである程度和らげることができるので、
あとは、手術の傷の管理をしてあげることで
術後がもっともっと快適になるのかなぁ
と思うのです。
というわけで、
たかが縫合ですが、されど縫合
だと思っています
乳腺腫瘍の手術は、どうしても傷口が大きくなります。
大きく切開した傷口を開かないか気にかける飼い主さんがほとんど。
でも、違和感なく縫合してあれば、傷が開くこともなく、傷がくっつくことも早いものです。
ちゃんと縫い合わせてると、次の日でも結構くっついているんですよ。
逆に舐めてしまったり、しっかりくっつくように縫い合わせてなかったりすると、
そこからバイ菌が入ってしまって化膿してしまったり、
傷の治りが悪かったり、
抜糸までの日数も長くなったりもします。
こうなったりすると、すんごく憂鬱・・・
痛みに関しては薬でカバーできるけど、
違和感は技術でカバーするしかない・・・
日々手術を通して、いい点悪い点を反省し、次に活かすようにしています。
手術した分、次の手術に活かせるように・・・
ただ・・・
綺麗に縫合していても、
舐めるタイプの子は、飼い主さんが管理してあげなきゃ
傷口にバイ菌が入ってしまったり、開いたりすることも・・・
抜糸までの日数も長くなってしまうので、
私たち病院がしっかり縫合すること
術後は飼い主さんがしっかり管理すること
どちらも傷の治りには必要だと思っています。
どうしても手術を受けなければならない子へ
負担が少しでも減りますように・・・