うちの猫、室内飼いだから避妊手術はしなくても大丈夫って人、大間違い。 | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
http://www.ruoona.com/
http://www.alohapet.info/

CMでも、犬より猫が起用されているケースが増えてますね。

 

そう、世間は猫ブーム。

 

猫を飼う方には、知っておいていただきたいこと、考えておいていただきたいことがあります。

 

判断を間違うと、命を落とす可能性や苦しんでなくなる可能性も出てくる・・・

 

そんな大事なお話です。

 

 

 

 

 

うちの猫、室内飼いだから、避妊手術はしなくて大丈夫。

 

 

 

そうですね。

 

 

室内飼いで、他に一緒に雄猫を飼うことがないのであれば、

 

妊娠・出産することはないのだから、

 

避妊手術する必要はないですもんね。

 

 

 

でも・・・

 

 

避妊手術の目的は、それだけではないのです。

 

 

 

 

うちの動物病院には、他の動物病院に比べ、多くの猫ちゃんが訪れます。

 

私が猫すきだから呼び寄せるのか?笑

 

はたまた、キャットケアレッスンをしているからか?

 

はたまた、さくら猫活動をしているからか?

 

わんちゃんのほうが比率的には多いのですが、猫ちゃんも負けていません笑

 

 

猫ちゃんも多いのですが、

 

最近は、新しく子猫を迎えて動物病院にいらっしゃる方も増えています。

 

 

 

子猫を迎え入れた家族が初めてうちに来た時、

 

「避妊手術を考えていらっしゃいますか?」

 

とお尋ねします。

 

 

 

すぐに、「はい」と返事をされる方もいらっしゃいますが

 

「う〜〜〜ん」と悩まれる方や、

 

「外に出さないからいいかなと思っています。」といわれる方もいらっしゃいます。

 

 

 

 

私は、

 

「まだ子猫でおうちに来たばっかりで、手術をするかどうかなんて考えてないですよね。」

 

と伝えつつ、

 

「でも、今お伝えする理由、今知っていただき考えてほしい理由があるので、今あえてお話させていただきます」

 

と続け、

 

以下のようなお話をします。

 

 

 

それは、『乳腺腫瘍』のお話。

 

 

人でいう『乳がん』のこと。

 

 

 

猫の場合、乳腺腫瘍の大半が、悪性腫瘍。

 

もし乳腺腫瘍ができてしまったら、肺に転移することもしばしば。

 

胸の中に水が溜まってしまうこともあります。

 

また、肺がしっかり働かなくなったり、胸の中に水がたまってしまうことで、

 

呼吸困難がおき、とても苦しむことになるのです。

 

 

早く乳腺腫瘍に気づき、手術で取り除いたとしても、

 

再発することもしばしば。

 

 

 

とにかく、ならないに越したことがない病気のひとつ。

 

 

 

 

そんなタチが悪い病気なのだとしたら、

 

絶対かかってほしくないびっくえいマーク

 

なんとかならない方法はないのかビックリ

 

 

 

わが子(猫)を愛している人であれば誰しもそう思うはず。

 

 

 

 

一つだけ、方法があります。

 

 

ただし100%防げるというわけではありませんが・・・

 

でも、限りなく近く防ぐことができる方法があります。

 

 

 

 

それは、『避妊手術』。

 

 

ただし、条件があります。

 

 

 

生後半年までの間に、避妊手術をしてあげること。

 

 

発情がくる前に、避妊手術をしてあげること。

 

 

 

避妊手術をするにしても、

 

生後半年を過ぎていたり、発情がきてしまってからでは、予防率は下がってしまいます。

 

 

 

つまり・・・

 

避妊手術をする時期で、乳腺腫瘍になる確率が変わるということ。

 

 

 

なるべく乳腺腫瘍になる確率を減らしたいということであれば、

 

生後半年で避妊手術してあげるのがベストなのです。

 

 

でも・・・

 

なんの知識もない状態で飼っていたり、

 

小さいうちに動物病院に連れていくことなく、先生からこういう話を聞かず飼っていたり、

 

すると、

 

避妊手術することなく、

 

予防できることができるものもできない状態で過ごし、

 

中高齢にさしかかったときに、乳腺腫瘍になってしまうことがあるのです。

 

 

 

先日、生後半年くらいの子をもらい受けた方がいらっしゃいました。

 

 

例の感じで、私が「避妊手術はされないのですか?」と質問すると・・・

 

 

別なところで、ワクチン接種の話を受け、

 

ワクチン接種を2回していないと避妊手術はできないから

 

ということで、

 

手術は見送りになっている

 

と飼い主さんに言われました。

 

 

生後半年ということは、タイムリミットが来ているわけで、

 

ワクチン接種を2回するのを待っている間に、

 

タイムリミットは過ぎてしまうし、発情もきてしまう。

 

 

ワクチン接種していないと病気をもらうから手術できない

 

ワクチン接種終わったらしよう

 

と言われても、

 

ワクチン接種してすぐに免疫がつくわけでもない・・・タラー

 

 

つまり、ワクチンの効果が出るベストな時期を待っている間に、

 

確実に、『乳腺腫瘍』を防ぐタイミングを逃すことになってしまう。

 

 

ワクチンが未完了で、風邪をひいたにしても、

 

風邪は抗生剤などの治療ですぐに良くなる。

 

 

でも、乳腺腫瘍になってしまったら、後戻りはできない。

 

救ってあげられることもできない。

 

 

ワクチン未完了と避妊手術、

 

どっちが大事だろう???

 

 

私は、私の考えを伝えました。

 

 

ワクチン未完了で、もしも風邪をひいたとしても、命に関わることはない。

 

ワクチンの中に含まれる病気の中で、命に関わる病気もある。

 

でも、その病気に、室内で今感染する可能性っていかほどだろう?

 

風邪をひいてしまったなら、治療すれば治る。

 

でも、ワクチン完了まで待って、避妊手術を遅らせることで、

 

中高齢になって乳腺腫瘍になってしまったら・・・

 

転移がおき、呼吸困難がおき、苦しんで、助けることもできず、なくなってしまう。

 

どちらを優先するか?

 

私は、乳腺腫瘍になる確率を少しでも下げるために、避妊手術を選ぶ。

 

と・・・

 

 

 

人それぞれ考えはあると思います。

 

 

けれど、私は、愛する猫に、『乳腺腫瘍』にだけはさせたくない。

 

あんなに苦しむ姿は見たくないから。

 

できることなら避けてあげたいと思うから。

 

いくつも苦しんでなくなっていった乳腺腫瘍になった命を見ているからこそ

 

そう思うんです。

 


{71647428-758B-428C-80D3-4AB27BF97B67}


経験したことがある人にしか分からない。

 

経験したことがある人が、経験しないように伝える必要がある。


 

だからこそ、私は、子猫を迎え入れたばっかりの家族に、この話をしています。

 

 

 

猫ブームだからこそ、

 

猫を飼う人が多くなっている今だからこそ、

 

室内で飼うから避妊手術への危機感がなくなっている今だからこそ、

 

このことを一人でも多くの人に知って考えていただきたい。