【野良猫・飼い猫でよくあるケース】あなたが望んでいることって本当にその猫にとって幸せでしょうか? | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
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野良猫も飼い猫も、その子らしく暮らせることが大事だと私は思っています。

 

『その子らしく=人間の思い描くもの』とは限りません。

 

野良猫でも、飼い猫でも、人間中心の考え方よりになっちゃって、

 

本人はそんなこと望んでない!

 

ということがよくあるように感じています。

 

野良猫も飼い猫も、

 

人の考え中心ではなくて、その子の思いを尊重して、

 

人と猫が共存して暮らせるようであってほしいなと願っています。

 

 

 

 

 

 

野良猫の相談でよくある内容に、

 

『野良猫を見かけて、保護して里親を探そうと思っているんですが・・・』

 

というものがあります。

 

 

野良猫を保護して、里親を探す。

 

つまり、野良猫から飼い猫になるチャンスを与えるということ。

 

「いいことじゃないですかっびっくえいマーク

 

と思ったあなた・・・

 

 

 

 

 

ちょっと待ってくださいびっくえいマーク

 

もう少しだけ冷静に猫の立場で考えてみてください。

 

 

 

 

 

なんですか?せっかくいいことしようとしてるのに・・・

 

飼い猫として飼ってもらったら喧嘩も交通事故もなければ、

 

温度管理も心配なく幸せに暮らせるじゃない

 

何か問題でも??

 

と思ったかもしれません。

 

 

 

でも・・・びっくえいマーク

 

猫からしたら、『ありがた迷惑』ということもあるのです。

 

 

 

 

『野良猫を保護して、里親を探す』

 

私がこうしてあげたほうが幸せだろうなと思うケースは、

 

野良猫がまだ生後2ヶ月未満で、人に慣れさせることができる要素を持っている場合。

 

あとは、野良猫で大人でも、懐っこくて人に寄っていく場合。

 

 

 

 

昔から野良として威厳があるような子、

 

人が通ると猛ダッシュで逃げるような人への警戒心たっぷりの子、

 

そういった子たちは、正直保護したとしても、懐くケースは少ないんです。

 

 

 

怪我をしたり、弱っていたりして、保護したなら話は別。

 

むしろ治療を機に、仲良くなれることだってある。

 

 

 

でも、元気いっぱいで、野良として威厳があるような子は、

 

まず人に心を開くようなことはないでしょう。

 

よほど猫を手なずけられる技術がある人であれば別ですが・・・

 

 

 

だから私は、

 

『野良猫を見かけて、保護して里親を探そうと思っているんですが・・・』

 

と相談の連絡がきたら、まず、

 

「その子はまだ離乳していないような子猫ですか?」

 

「人慣れしてる子なのですか?」

 

と確認するようにしています。

 

 

 

もしも該当しないケースであれば、

 

「避妊・去勢手術だけすること、さくら猫にしてあげることを目標にしましょう」

 

と説得するようにしています。

 

 

 

野良として生きている子にとって、

 

人に対していいイメージを持っていない子にとって、

 

知らない人に保護されること、知らない家に連れていかれること、

 

そして、あんなにのびのび暮らしていた外の世界を楽しめなくなること、

 

それはとても苦痛なことなのです。

 

 

 

室内でしっかり人が管理して飼ってもらったほうが幸せに決まっている

 

と決めつけてしまうかもしれませんが、

 

広い外で、

 

暑い時は涼む場所、寒い時はあったかい場所へ自由に移動し、

 

ときに猫友達と会ったり、猫集会に出てみたり、巡回してみたり、

 

一日中自分が過ごしたいように無限のスペースで暮らしている子にとって、

 

閉鎖されたスペースで限られた移動箇所で暮らしていくのは実は苦痛でもあるのです。

 

 

確かに室内だったら、交通事故の心配もなければ、ご飯や怪我の心配もしなくて済む。

 

寿命を全うする可能性の方が高い。

 

 

人もそうですが、

 

生きている間、どれほど幸せだなぁ〜と思えたか?

 

が大事だと思うんです。

 

ただただ長生きするのではなくて、

 

今日も1日幸せに暮らせたことに感謝だわという気持ち、

 

それがあることが大事だと思うんです。

 

 

 

 

 

だから、

 

全部が全部、

 

野良猫を室内猫へするということに賛同できません。

 

 

 

 

そしてもう一つ・・・よくあるお話。

 

 

『うちの猫、生まれてこのかたずーっとおうちの中だけなのだけど、

 

外の世界を知らないってかわいそうだなと思うので、

 

外に出してあげたいと思うのですが・・・』

 

というお話。

 

 

 

 

知らない世界って誰しも怖いものですよね。

 

私たちも知らない世界に足を踏み入れるのは勇気がいるもの。

 

 

 

猫だって一緒なのです。

 

 

 

ずっとおうちの中で生活してきた子にとって、

 

知らない外の世界は怖いもの。

 

 

 

人のそういう気持ちから無理やり出されても

 

大パニックになる子だってたくさんいます。

 

 

 

そして、もしも、外に出てみて怖くなかったとして、

 

外って無限大のスペースで、ワクワクするようなことがいっぱいだ

 

と外を魅力的に感じたとする・・・

 

 

そういう子にとって、

 

自由に外に出て遊べないことが今度はストレスになることだってあるのです。

 

 

 

外の楽しさを知らなければ、

 

外に行きたい!

 

と思ったり、催促したりすることなんてないはず。

 

 

 

だって、行かなければずっと知らない世界だから、

 

もしもそこが魅力的な世界だったとしても、

 

知らなければ、その魅力を知らないまま寿命を全うするわけです。

 

 

 

それはそれで、ある意味幸せかなとも思います。

 

 

 

楽しさを知ることなく寿命を全うするなんてかわいそすぎる

 

そう思う気持ちを仮に受け入れて・・・

 

外に定期的に出すという選択肢を取る。

 

 

そうすることで、

 

交通事故に遭ってしまい、命を落とすことになったら・・・

 

果たして幸せだったと思えるだろうか。

 

 

 

 

 

 

一部極端な表現はあるかもしれないけれど、

 

野良猫でも飼い猫でも、その子がどう思っているか?

 

それを一番に感じ取って、

 

その子が望むことを、

 

その子らしく暮らせることを、

 

私たち人間はサポートしてあげればいいのだと思います。

 

 

共存するってきっとそういうこと。