人もペットも当たり前のことが当たり前でなくなる不安を共有してほしい | 【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

【鹿児島⭐︎動物病院から】飼い主さんとペットの絆を深める心の持ち方接し方を提案 獣医師 浜崎菜央

鹿児島で動物病院を経営しつつ、飼い主さんがペットに1つでも多くできることを提案できる場として、ペット関連のイベントや講演をしています。
http://www.ruoona.com/
http://www.alohapet.info/

こんにちはおんぷ

みなさんは、『当たり前のことが当たり前でなくなった』という経験があるでしょうか?

『当たり前』でなくなったとき、『当たり前』のありがたさがしみじみわかるもの。

『当たり前』に感謝して過ごすことを大事にしている

アラフォー獣医師 浜崎菜央です。



(ライアが見つめる姿も私にとっては当たり前のことでした。だから、今も形が違っても見つめてくれていることを感じて感謝してる。)


先日、パートナーとのことで『当たり前のことを当たり前と思わず感謝すること』をお伝えしたのですが、
(まだ読んでない!という方は、これ→パートナーとずっと素敵な関係でいられるために



これはパートナーだけではなく、何に対しても言えること。


ほとんどのことに対して『当たり前』だと思って生きていると思います。

私もその一人でした。



以前私の過去の病気について触れたことがありましたが、
(参考記事はこれ→年に1回のマンモグラフィー&甲状腺の検診で改めて決意!
(参考記事はこれ→ 私がペットマッサージをこよなく愛す理由は私自身の体験から


この手術後、リンパ浮腫以外に、実は排尿障害が起こりました。



子宮がある部分には、膀胱や直腸があります。

その部分の手術をするということは、多少その周りの神経を傷つけるわけで、

その結果、排尿障害が起こることがあるのです。

手術後しばらくは、尿カテーテルをつけていて、カテーテルを介して自動的に尿が出ていくのですが、

1週間もすると、尿カテーテルを取り、自力ですることとなります。



ただちゃんとこの行動ができるか、病院側は把握しなければならないので、

1時間ごとに取る水分量や

必ず4時間おきにトイレに行くこと

トイレで出たおしっこの量を測ること

排尿後尿カテーテルを毎回入れ、残尿がないかチェックすること

が決められていました。


手術の際の神経への影響は人それぞれで、

「おしっこに行きたい」という感覚がない人

おしっこが空っぽになったという感覚がない人

自力でおしっこできない(ふんばっても出ない)人などいろいろ。


もちろん、手術前と全く変わらない人だっています。




私は・・・というと

「おしっこに行きたい!」という気持ちはあるし、

踏ん張っている!という自覚もあるし、

おしっこは出し尽くした!という感覚もあるのですが、
(まぁ実際は間違った感覚なのですが💦)

トイレに行ったのちに、看護婦さんに尿カテーテル入れてもらい残尿チェックすると、

なんと自力で排尿した量以上に、膀胱に残っていたのであります。


つまり・・・

残尿を把握することができない

おしっこを最後まで出し切ることができない


状態になってしまったのです。



これって実は危険なことで、

古いおしっこがずっと残っていると、雑菌が繁殖して、膀胱炎になるきっかけになるし、

膀胱炎だけでなく、腎炎を起こすことにもつながるんです。


だから、ちゃんと残尿がほとんどなくなるまでは、尿カテーテルで取るという作業がついてまわるのです。


サラッと『尿カテーテルを入れる』と書いていますが、

尿カテーテルを入れるのって、結構痛いんです><



夜中も関係なく、4時間おきに定期的に起こされ、

トイレに行き、10分以上踏ん張り、

「もう完全に出し切った!」と思い、処置室に向かい、

尿カテーテルを入れチェックしてもらい、残尿が100ml以上っていう毎日。
(あんまり寝起きがよろしくない私は、看護婦さんに呆れられ、夜中起こすのを止められましたが・・・💦)


1日がおしっこの量で追われ、

精神的に参ってしまったことも・・・


同じ手術をした人たちが次々とクリアしていき退院していく中で、

私だけ、残尿が多すぎるという理由で退院できない。

いつもは当たり前にトイレにいってしていたことなのに、なんで?

とすごくすごく苦しくなったこともありました。



負けず嫌いな私は、『他の人においていかれる』ことが辛かったんです。



周りから見たらすごく元気に見えても、

排尿障害があることで退院できないことも辛かった・・・泣


早く帰って、愛犬に会いたかったし、

早く帰って、仕事をしたかったからね・・・

帰れないということが苦痛でした泣



一生トイレの後、尿カテーテルが必要になるのか?

と思ったこともありました。


でも、実際、私よりも症状が重い人もいて、

「おしっこがしたい」という感覚すらない人もいるわけで、

定期的に自分で尿カテーテルを入れて排尿している人もいて、

それに比べたら大したことない!!と思うこともありました。




『当たり前』が『当たり前じゃなくなる』ということが

こんなにもつらいことだと思わなかった

『当たり前』にできる体をもっと感謝しなければならない

そう感じたんです。



早く退院したいという気持ち

当たり前にできるようになりたいという気持ち


から、私はせっせと運動するようになりました



朝も夜も、1階から10階まで階段の昇り降りを何度もしたり、
(階段の昇り降りで鍛えられる筋肉が排尿に関係してるんですの指差し

自分が入院しているフロアをせっせと何周も歩いたり、

骨盤底筋を鍛えるベットでもできる運動をしたり、

とにかく必要だと思う運動を全部しました。



結局目標の残尿に至らないうちに、

頑張っている私の姿を見て、

「試しに帰ってみようか。もしかしたら生活しているうちに良くなるかも」

とおっしゃってくださって、


めでたく退院することができたのです。



ここでも、リハビリの重要性を身をもって実感したわけであります。



だから・・・



私がペットに対してオペだけでなく、

『マッサージ』、『リハビリ』や『筋肉トレーニング』を推奨しているのであります。



image



だからかビックリマーク
と腑に落ちた人も多いのでは



さて・・・

『当たり前のことが当たり前でなくなった』
ことに対してどう思うか?

というお話に戻ります。



不安

焦り

葛藤

プライドが傷つく

ストレス


いろんなマイナスな単語があがってくると思います。


私もそうでした。


これは、私たち人間だけでなく、わんちゃんねこちゃんたちにも当てはまること。



あんなに耳がいいわんちゃんたちが「耳が聞こえなくなる」ということ、

きっと大きな喪失感があると思います。


他にカバーできることがあったとしても、

やはり『当たり前』が『当たり前でなくなった』ことへの心の変化を

飼い主さんが理解してあげているかどうか
ということは

大きな違いだと思っています。


私もそうでした。


私の気持ちを理解してくれる人がいる

ということが大きなチカラとなり、大きな支えでもありました。


シニア期の子は、「耳が聞こえなくなる」以外にも、

たくさんの『当たり前のことが当たり前でなくなる』ことがあります。


歩けなくなることもそうです。

歩けていても、走れなくなることもそう。

目が見えなくなることだって・・・


ちょっとしたことかもしれないけど、

当たり前のことができなくなることは、とても歯がゆいことで

負けず嫌いや頑張り屋さんにとっては、なかなか受け入れにくいことでもあるんです。


飼い主さんが理解してあげて、支えてあげること

それが何よりも嬉しく心強いチカラ。



私みたいに運動をして復活できることもあるだろうし、

私みたいに思考の変換を行って、楽しい事に目を向けることだってできるだろうし、

不自由になったら、なったなりの楽しみ方を

飼い主さんが教えてあげたらいいのです。



私はそのお手伝いができるように、『マッサージ』に『筋肉トレーニング』・・・

これからもがんばりたいと思っています。