昨夜、WOWOWで放送されたエリック・クラプトンの生誕70周年記念のライブを観ました。
何とも言えない味わいがあって、すっごくよかったです。
今回は、そのクラプトンの自伝本の紹介です。
クラプトンは、私の師Eさんが勧めてくれたアーティストで、
その曲を聞き込むうちに大好きになりました。
この本を読んだのは、買ってかなり経ってからのことです。
薬物やアルコールの依存症についても赤裸々に綴られた内容で、名声の裏でこんなにも苦悩していたのかと驚きました。
読んで、私の中で何かが反応したのか、長く勤めていた会社員生活にピリオドを打とうと思うきっかけになったのを覚えてます。
この本の中で、私の心にものすごく響いたのは、2回目のアルコール依存症の治療センターで起きた出来事についての部分です。
では、その部分を抜粋して紹介します。
滞在が終わりに近づいてきたある日、パニックに陥った。
私は完全に絶望して、怯えきっていた。
その瞬間、申し合わせたかのように両足が前に崩れ落ち、
膝をついていた。
私は誰もいない自分の部屋の中で助けを求めた。
自分が誰に話しかけているかは考えなかった。
我慢の限界に来たことがわかっていただけだ。
私は戦意を喪失していた。
その時、降伏について聞いていたことを思い出した。
自分にはできないと思っていたし、プライドが許さなかったが、自分一人ではどうにもならないことはわかっていたので、私は救いを求め、ひざまずいて降伏した。
2、3日のうちに、自分に何かが起きたことに気がついた。
私は心のよりどころになる一つの場所を見つけていた。
それはいつもそこにあることはわかっていても、実際には信じたいとも、信じることが必要だとも思っていなかった場所だった。
その日から今日まで、毎朝、必ずひざまずき、救いを求めるために祈っている。夜には、自分の人生への、とりわけ禁酒したことへの感謝の気持ちを伝えている。
ひざまずくことにしたのは、祈る時、謙虚な気持ちになる必要があると思っているからで、エゴの強い私にできるのはせいぜいそれくらいのことだ。
私は宗教にこだわりはない。精神的なことには強い好奇心を持ちながら成長したが、私の探求は教会や地域での礼拝から私を引き離して、内面の旅に向けられていた。
回復しはじめる前に、私は、ヘルマン・ヘッセのような作家や、マディ・ウォーターズ、ハウリン・ウルフ、リトル・ウォルーターのようなミュージシャンによって、音楽や芸術の世界に神を見つけた。
ある意味では何らかの形で、神はいつも存在していたのだが、
今は彼に話しかけるようになったのだ。
この本を読んで、クラプトンのことがもっと好きになりました。
音楽について、彼はこう語っています。
音楽はいつも私の救いだったし、生きる原動力だった。
演奏していない時でさえも、
聴くことで危機を乗り越えていたのだ。
音楽の持つパワーって、やっぱりすごいですね。
では最後に、昨夜放送のライブでも演奏された曲を。
エリック・クラプトン『ワンダフル・トゥナイト』