引き続き、数秘で観る人物をお届けします。

 

ピックアップしているのは、絵本画家 いわさきちひろ さん!

8月8日は、ちひろさんの命日です。

 

昨日、一昨日は、

いわさきちひろ ~決意と自立① 数秘で観る人物

 

をアップしました。

今日はその続きとなります。

 

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家出をしてから3年。

さらに本格的に自立・独立への腹をくくり、30歳になったひろさん。

 

「2度と結婚しない!」

 

20歳の時の結婚の失敗の後、そう固く決意していました。

 

ところが、人生を共に歩んでいく運命の人が目の前にあらわれます。

 

7つ年下の、松本善明さん。

貧しい人々のために社会変革に打ち込み、

弁護士を目指す、まっすぐな若者でした。

 

はじめて、ほんとうの愛を知ったちひろさん。

彼がいなくては、絵が描けない…と気持ちが高ぶります。

 

お互いに愛を確かめ合う2人でしたが、結婚は先方の親に大反対されます。

 

当時の社会背景として、離婚した女性に嫁としての価値はなく、

まして、7つも年上というのは考えられなかったようです。

 

結局、家族の賛同を得ようとする気持ちを断ち切り、

2人だけの結婚式を挙げるのです。

 

小さなアパートの一室に、手持ちのお金すべてをつぎ込んで花を買い、

部屋一杯に飾って、ワインを買って2人だけで乾杯して祝ったのです。

それが夫婦としての独立の第一歩でした。

 

 

1年後、長男が生まれます。

 

ですが、ここから、ちひろさんの本当の奮闘が始まります。

 

夫は、弁護士資格取得に向けて猛勉強中。

互いの実家に、金銭面で頼ることもできません。

生活を支えるのは、ちひろさんの絵筆です。

 

夫は弁護士資格を無事得るものの、

貧しい人々のための闘争を弁護するものですから、

思うような収入が家庭に入ってきません。

 

ちひろさんは、生活のために駆けずり回り、頼み込んで広告の絵などを受け、

思うように自分自身の創作活動に力が回せなくなったときには、

 

「自分の絵をダメにしてしまった…」

 

と、嘆きと絶望の気持ちが生まれてしまう日も…

 

 

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そんな奮闘の日々の中で、ある挿絵に目をとめた出版社から、

念願の絵本の仕事、「こどものとも」への挿絵の依頼が舞い込みます!

 

ちひろさんは腕まくりして、全力投球!

全身全霊を集中させて、緊張感をもって挑みました。

 

そこから徐々に評判を呼び、画家としての注目が少しづつ高まっていきます。

 

 

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ここから、とても大事な部分をここでご紹介したいのです。

 

このちひろさんのチャートの印象を、

 

 「時代を変革していく炎の旗手」

 

と前出のブログに書きました。

 

硬派な画風を求められた時代の空気の中で、

ちひろは、自分のありのままをつらぬき、

子どもと花と美しい四季を主題に、

自分の愛の世界を築き上げていくのです!

 

まず、ちひろさんは、自分の描きたいものを曲げなかった!

輪郭線のない、淡い色彩の独自の画風を確立していった。

 

これだけでも、凄いことだと思います。

 

先日NHKで放映していたある番組の中で、

学徒出陣で命を散らした若い画家の卵たちの絵を収集・展示している

無言館(むごんかん)の館主の窪島誠一郎 さんが、

 

「絵は、描く対象を愛して好きでいないと、

 決して描くことができない芸術なんだ!」

 

と、吉永小百合さんとの対談の中でおっしゃっていました。

 

その言葉通り、ちひろは、愛する人との間に授かった息子をこよなく愛し、

その成長をつぶさに観察し描くことでちひろの世界を確立していったのです。

 

駆け出しの当初は、自分の画風の確立に悩み惑いはしたものの、

結局、しっかりと好きなもの、愛する世界を描くことを貫いた。

 

 

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そして、画家としての自分をしっかり確立すると、

多くの画家たちと交流し、作家の権利を守るための情報交換をしました。

 

当時、挿絵画家や絵本画家の地位は、一段低く見られており、

作品は出版社のもので、著作権などは認められておらず、

大事な作品が勝手に切られたり、返却されなかったりするのが常態でした。

 

そこで、ちひろさんらが決然と立ち上がり、

出版社に対し、作者への原画の返却を強く主張し、

同時に著作権を主張して作品を守るという活動をしたのです。

 

「作品は、画家のものだ!!」

 

この訴えは、怒りと情熱に鼓舞され、まさに権利を勝ち取る闘いでした。

 

やがて、ちひろたちが主張する著作への権利への要求が、

頑迷で旧態然とした出版界に少しずつ風穴を開けていくのです。

最初は沈黙していた多くの画家も、ちひろの主張に追随していきました。

 

そこで、今日もちひろさんの数秘チャートに登場してもらいましょう。

 

 

1918年12月15日 生まれ

いわさき ちひろ  <画家>

 

●軌道数(人生のテーマ)  28/ 
●表現数(ライフワーク)   80/ 

●人格数(印象、雰囲気)   36/9 

●ハート数(魂の熱望・本質)44/

 

 

目標を定め、先頭を切る、という意味合いのある、

軌道数(人生のテーマ)

このには、自分のオリジナリティを貫く、という意味合いもあります。

 

ちひろさんは、あの柔らかく瑞々しいタッチで、

誰の真似でもない、独自の世界を切り拓いていったのです!

 

そして、には、リーダーシップを取るという意味もあります。

 

   

   禅タロットの一枚、THE REBEL(反逆者)

   雄々しく、道なき道を切り開く王

   制限の鎖も引きちぎって前進します!

 

改革には、先頭に立つ旗印のような人が必要です。

そして、そのリーダーには、赤々と燃える消えない闘志が欠かせません。

 

アーティストたちの著作権という、当時まだ耳慣れなかった権利を、

不屈の精神で忍耐強く勝ち取っていったのは、信じられない快挙です!

ちひろさんたちが恐れず前進したから、道ができたのです。

 

そして、ちひろさんの魂は、胆力が備わっていて、とてもタフです。

ハート数

欲しいものをつかみ取っていく、パワーがあるのです!

簡単に手に入らないことは承知で挑んでいくのです。

 

権威を振りかざす人、虐げる人には決して屈しませんし、

弱き立場のものをスクラムを組んで守ろうとする気概に溢れています。

 

ちひろさんの表現数です。

これは、つかみ取ったものを分かち合う才能があることを表します。

独り占めではないのです。

 

経営者としてスタッフをまとめていく才も晩年に十二分に発揮したでしょう、

皆が幸福になっていく道を模索し、構築する能力があるのです。

 

ちひろさんの作品が死後も散逸せずに、ちひろ美術館に結実し、

今も私たちの心を豊かにしてくれるのは、なんという成果でしょうか。

 

軌道数

表現数

ハート数

 

こう並ぶと、なんと勇敢で雄々しいエネルギーが迸っているのでしょう!

やわらかく優しい雰囲気のちひろさんからは、パッと想像できないほどですが、

 

「時代を変革していく炎の旗手」

 

と私がチャートからイメージしたのは、

ちひろさんが確かに持っていたひとつの側面だと思うのです。

 

 

次回が、いわさきちひろ 数秘で観る人物 最終回となります。

ちひろ、最期の仕事と旅立ちを取り上げます。