名作です。
純粋で不器用なジェルソミーナと、粗野で不器用なザンパノの物語です。ザンパノは作中終始ジェルソミーナを雑に扱いますが、ラストシーンでジェルソミーナが死んだことが発覚した際、思い出の浜辺でなき崩れます。
失くして初めて気づく王道パターンですが、非常に綺麗なストーリーテリングをしています。
ザンパノの荒くれ者の感じは非常に理解できます。感情のコントロールがきかず、酒を飲んで暴れたり、激情にかられ、人を殺してしまったときもあります。
そんな男がジェルソミーナを失って、初めて涙を流すからこそ、この涙の価値が高くついたのだと思います。
そもそもジェルソミーナとザンパノが師弟関係であり、なおかつ男尊女卑の時代でもあったため、余計にジェルソミーナが自分にとって大切であったことに気づかなかったのだと思います。
ジェルソミーナはザンパノの役に立とうとするのですが、そもそもザンパノにとってジェルソミーナが他愛もない会話を仕掛けたり、そばにいるだけで良かったのだと思います。二人は一種の精神上の恋人関係であったと思います。
私も近くにいる人を大切に思う気持ちを忘れずにいたいものです。