みなさんは、「エレキテル」をご存知だろうか?
なにやらあやしげなその響き。
しかし、あやしいと言ったって、『博士の異常な愛情』(※)的、つまり、マッドサイエンスト的なあやしさではない。
アメヤ横町で誰も見向きもしないのに叩き売りされている大量のせんべい的な、
刺抜き地蔵で意味不明に徒党を組んでいる派手なおばちゃん的な、
あやしさがそこにはあるのだ。
私は今、外来語を調べる仕事をしている。
「えーこれも外来語だったんだ!」
「なに~! この言葉にそんな語源があったなんて…びっくり」
というような、意外性がある外来語を集めているのだ。
例えば、みなさんは、「ポン酢」が外来語だということをご存知だろうか。
「ポン酢」はもともとオランダ語。
つづりもそのまま「pons」(柑橘類の果汁の意)だ。
何を眉唾な話を、と笑う人もいるだろう。
しかしこれは、その筋の代表書『基本・外来語辞典』(東京堂書店・石綿敏雄 編)にも書かれているとおり、紛れもない事実である。
とにかく最近私は、そのようなとくに誰のためにもならない仕事に夢中になっているのだが、
外来語を集めていくうちに、とくに目を引かれたのが、「エレキテル」という単語だったのだ。
そのあやしげな響きに惹かれ、少し調べてみた。
エレキテルは、オランダで発明され、1751年ごろに江戸幕府に献上された「静電気発生装置」。
木箱についているハンドルを回すと、中の電極が反応し、外部にある銅線に火花が散る、というものだ。
(構造的なものは自他ともに認める極・文系人間である私にはうまく説明できないので、理系人間の方は、下記のサイトで確認してくれ)
このエレキテル、なにがすごいかというと、その使用用途だ。
宮廷での見世物(現在の静電気実験)や 医療器具(電気ショック治療)として用いられた。
(下記サイトより引用)
見世物とするのは、まあ許そう。
まだ電気技術が発達していない昔のことだから仕方があるまい。
しかし、ことによって、電気ショックである。スタンガンみたいなものか?
いいのか、それで。
さて、幕府に献上されたエレキテルは、その後すぐに壊れてしまい、
長年それを直せる人はいなくて、途方に暮れていたそうだ。
そこで出てくるのが、平賀源内。
源内は、香川県生まれ。
発明家のほかにも、作家、蘭学者、画家などさまざまな肩書きを持つ当代きってのキレ者だ。
なかでも戯作の腕前はすばらしかったらしく、
“江戸戯作の開祖”と呼ばれていたことは、無学な私でも知っていた。
その持って生まれた勘の鋭さで、エレキテルの模造製作に成功した源内。
しかし、彼は電磁気学に対する知識は皆無だった。
電気の発生する原理を、陰陽論や仏教の火一元論などで説明したという。
だから、いいのか、それで。
そんなやつが電気ショックしていいのか。
さすが江戸時代である。
適当だ。だから私は江戸時代が好きなんだ。
そもそも、名前がすごいではないか。ヒラガゲンナイ。
そんなカッコいい名前の人間にあなたは会ったことがありますか?
(あるならば、コメント欄に書き込んでください)
私は「エレキテル」の響きに自身が感じていたあやしさが、けっして間違いじゃなかったことを確信した。
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※
『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(64年英)スタンリー・キューブリック監督
参考:
「平賀源内とエレキテル」http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~hayashi/hiraga/index.html
(※エレキテルの構造から作り方まで紹介してくれる、文系の私には?なサイト。ただ、私だって作れるものだったら、作って、誰かに電気ショックを加えたいものだ、と思った)
