さっきの番組 | 雨の降らない国

雨の降らない国

ピグでの活動をときどき報告しながら
東電福島第1原発警戒区域の問題など
動物関連の話題を紹介しています。
うちの猫や読んだ本の話なども。

さきほど、毎日放送VOICEで、原発事故20km圏内の動物たちが
取り上げられました。めったに取り上げてもらえない、この問題
映してくれただけでも、ありがたいのは、ありがたい。
でも、いろいろ、言いたいことが出てくる内容でした。

出演していたのは、新庄動物病院の掲示板
の今本成樹獣医師です。
この方は、行政に声を届けることのできる数少ない「希望の星」で
あられるのですが、その分、その意見は、行政目線によっています。
行政が受け入れやすい文脈で、物が言える、とでも言うのでしょうか。
あえて言うなら、このような、行政と協調路線の獣医師の意見すら、
なかなか受け入れられず、政府/行政が動こうとしなかったことに、
私などは、絶望感すら、感じたのですが。

番組の内容は、家畜に関してで、ペットは出てきませんでした。
(場内に犬がいて、嬉しそうに、跳ねてましたが。)

場所は、南相馬市。

撮影された牛舎では、片側の牛たちは、辛うじて生きていましたが、
反対側の列の牛は全滅、水と餌を求めて、柵から首を伸ばしたまま、
すべて死亡していました。つまり、同じくらいの餌が置いてあったら、
こちらの牛たちも、まだ、生きていたんでしょう。

豚舎では、震災をのりこえて生まれた子豚たちが、
やせ細った母豚の乳に、必死に吸い付いていました。
そして、長年かけて開発したブランド豚の種オス達には、
調査目的として市職員が入って、給餌を行なっていたため、
なんとか、生き残っていました。

今本先生は、こうした種豚たちは、実験動物として
救出する道があるのではないか、と述べています。

最後に、例の相馬馬追用に飼育されていた馬たちは、
原子力保安院に、その価値を認められて、救出され、
スクリーニングの結果は、全て問題なしだったとのこと。

一切、世話をされていない家畜たちは全滅しているが、
生き残っている動物たちだけでも、助けるために、
希望する獣医師に中に入らせて欲しい。と述べる今本氏。

以上、わずか4分間の報道でした。

確かに、家畜は、経済動物なので、こういう値踏みをされ、
価値によって、仕分けされること自体を否定できるような
仕組みに、今の社会は、なっていません。

ブランド豚も、口蹄疫の時の宮崎牛のことを思えば、
地方の産業振興にとっては、死活問題なのでしょう。

と、一生懸命、納得しようとしても、やはり、
理不尽だという印象を持たずにいるのは難しいです。

助けようと思えば、助けられるんじゃないか!
結局、面倒が嫌で、「普通の動物」のことは、
わざと、見殺しにしたのだ。
というふうにしか、受け止められませんでした。私には。

それに、この基準だと、愛玩動物は、どこに入るんでしょう。

今本氏のブログについては、実は、他に、
この先生のせいじゃないにしても、
怒り心頭な部分があるのですが、
今は、一時避難とペットの連れ帰りについて、
微妙な時期でもあるので、控えておきます。
…というのは言い訳で、
はらわたが煮えくりかえる、とは、このことか、
という気分で、今は書くに書けないのです。
私は、ジャーナリストにはなれないですね。

ジャーナリストといえば、
なぜ、政府や行政や東電が、こうまで執拗に
動物たちを飢え死にさせようとするか、について、
副島隆彦 今日のぼやき
に怖いことが書いてあります。
「なにがなんでも、20Km圏もしくは30km圏を
永久に無人にしてしまおうという陰謀が進行中」
私としては、これくらいの背景があった方が、
むしろ、納得できます。

本当に、原発行政については、どんなあやしい
ことがあっても、おかしくないという気がします。
全体で、どれだけの金が動いてるんだか、
想像もつかない上、何十年も稼働し続ける施設、
専門知識のない人間には手も足も出ない治外法権。

今さら、騙されないで~、と言っても、
原発立地市町村の人々は、もう、とっくに絡め取られてて、
先日の、敦賀市長選挙(福井原発)でも、4候補全員、
原発との共生を掲げていました。
交付金だけではなく、富岡町では、原発がなくなれば、
成人の3分の2は職を失うことになるそうです。
福島県で、農業も、漁業も、酪農も、放射能(不安)で
ダメになったら、意欲的な事業者は、皆、移住して、
結局、原発にすがって生きていくしかなくなって、
再稼働に同意してしまう、そういう計画が進行中だったりして。

そういう意味では、ブランド豚を守ろうとする気概が
あるのは、褒められるべきなんだけど。
いや、もう、ほんとに、町役場と敵対するなんて
不毛な構図にならないようにする方法はないんだろうか。
動物たちを救いたいだけなのに。