#93 座頭市と用心棒 (1970) | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

ジャンル:時代劇
製作国:日本
監督:岡本喜八
愛するポイント:カリスマ三船と庶民派勝新のガチンコ勝負に曲者揃いの競演が楽しい娯楽時代劇

 



三船敏郎は好きな俳優の一人ですが、それ以前に、登場するだけで画面がしまるスター俳優の一人だとも思っています。
日本のスター俳優らしく出演作が多いので、当然その出来にはばらつきがあるでしょうが、それでも彼が出ているというだけで作品に格式が生まれるような役者である、と感じます。

対して勝新太郎は、面白い俳優と思うもののそこまで"カリスマ"があるようには思えません。同じ大映のスター市川雷蔵と比べてもどこか軽さを感じます。
その軽さ、別の言葉で言えば庶民的な感じが、「悪名」シリーズや「兵隊やくざ」シリーズでは活きていますが、「座頭市」シリーズもまたそうで、けして英雄視されず"ご法度の裏街道を行く"キャラへのはまり具合が、長期に渡る人気の秘密のひとつだったように思います。

とはいえ、座頭市シリーズはさすがにリアルにはあり得ない盲目の主人公の強さが少々やりすぎのように感じていたのですが、本作では相手に三船を配し盲目ゆえの不便さ・不利さを再度強調することによって、市の雑草のようにしたたかなタフさが際立ちました。

座頭市シリーズ20作品目として、大映の看板女優若尾文子に加え、嵐寛寿郎滝沢修など大物を揃えたうえ、米倉斉加年岸田森常田富士男細川俊之神山繁寺田農など曲者や芸達者が続々登場するのも楽しいですが、中でも米倉斉加年が出色の出来で、滝沢修との絡みが魅せました。

監督は「殺人狂時代」の岡本喜八
アイウエオ順の紹介のため前回に続いての登場になりましたが、こうしたコミカルな要素がある作品で役者のキャラを最大限に引き出す演出は得意中の得意。定評のある三船と勝新のアクションも冴えて見応えある娯楽作品になっています。

タイトルは「座頭市"と"用心棒」ですが、"対"か"vs."をつけてもいいようなガチンコの勝負が見られます。さて勝つのはどっち?とそれは観てのお楽しみ。

 

ブロトピ:2024/03/19