【謹賀新年】2023年の振り返り&おすすめ映画8 | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

あけましておめでとうございます。旧年中存分に映画を楽しまれた映画好きの皆さんは、今年も既に観初めをすまされたでしょうか。

僕はといえば今年はまだですが、昨年はスローペースながらもなんとか週一ペースをキープし、再見含め54本の映画を観ることができました(ドラマは別です)。

未見作品の録画や入手したDVDが溜まる一方でなかなか再見できていなかった昔観た映画を、月1本ペースで観直す決まりにした結果、無事12本を鑑賞。うち3本が新たに愛する映画に加わりました(どの作品かは「愛の入れ替え戦 2023」をお読みください)。

残り42本が初見ですが、うち17本は大好きな映画(2つ☆)、18本が好きな映画(1つ☆)で、☆なし(面白い映画)は7本でした。これってひどくない?という映画に出会わなかったのは幸いです(あんまりないことですけどね)。

以下、大好きな作品のうちでも、再見してもよかったら愛する映画に加えたい、と思わせられた8本を簡単にご紹介します(あいうえお順。ネタバレはありません)。

愛は静けさの中に(1986)

オスカー作品賞を受賞した「コーダ あいのうた」(2021)に出演したマーリー・マトリンの映画デビュー作であり、オスカー主演女優賞を獲った作品。
マーリー自身がそうである聾唖女性の恋愛を描いていますが、彼女の強烈な存在感に加え、相手役のウィリアム・ハートのセクシーさが見どころ。
個人的には聾唖の捉え方が変わりましたが、そうしたいわゆる教育的な意義を超えて映像が素敵です。

オールウェイズ(1989)

1941」(1979)より後のスティーヴン・スピルバーグ作品はあまり観ていないものの、オードリー・ヘプバーンの遺作として観たかった作品でしたが、面白く観られました。
飛行映画(というジャンルがあるかどうかは知りませんが)としては、最近ようやく観た「トップガン」(1986)よりはるかに楽しめたし、オードリーは登場場面こそ少ないけれどやっぱり素敵でした。
ピアノレッスン」のホリー・ハンターが好演。

仕立て屋の恋(1989)

愛する「髪結いの亭主」(1990)のパトリス・ルコント作品だし、こんなタイトルなので同じような作品かと思って観たら、「メグレ警視」シリーズのジョルジュ・シムノン原作によるしっかりしたサスペンスで、人間関係の機微の面白さにも魅せられました。
ヒロインのサンドリーヌ・ボネールがいい、と思ったら、愛する映画「灯台守の恋」(2004)の主役でした。たまにしか(週一くらい)映画を観ないというのはこういうことなんだなと実感。相手役のミシェル・ブランも好演です。

ピアニストを撃て(1960)

大好きな監督の一人、フランソワ・トリュフォーの「大人はわかってくれない」(1959)に続く長編第二作。
トリュフォーは犯罪がからむサスペンス映画をよく撮っていますが、どれも緊張感が緩めで、それがかえって日常の中に犯罪的な要素が入り込んでくるという妙に現実的なタッチを産んでいます。
また主人公男女の恋愛が犯罪そのものよりクローズアップされるのも楽しいところで、本作ではマリー・デュボワが勇ましくキュートで印象的でした。男性主人公はシャンソン歌手の大物、シャルル・アズナヴール

お嬢さん(2016)

愛する映画「オールドボーイ」(2003)を含む"復讐三部作"(※)のパク・チャヌク監督のエロティックなサスペンス。話の面白さに加え、キム・ミニ、キム・テリの官能的な演技で魅せますが、日本人が観るとちょっと引っ掛かりそうなのは、俳優たちの話す日本語。
みんなかなり達者とは言え、日本人のふりをしている朝鮮人(ハ・ジョンウ)、もともとは日本人(キム・ミニほか日本のシーンに登場する人たち)、などの役柄でもあちらのなまりは隠しようがなく、意図せずにユーモラスな感じが出てしまいがち。とはいえ、欧米の映画にも実はそういうことはあるのかもしれませんね。
あとパク監督のグロ趣味(リアル指向?)が苦手な人はいるかもです。

 

※「復讐者に憐れみを」(2002)「オールドボーイ」「親切なクムジャさん」(2005)の3本。

裁かるゝジャンヌ(1928)

愛する映画「吸血鬼」(1932)「奇跡」(1954)のカール・Th・ドライヤー監督によるジャンヌ・ダルクの裁判を描いた無声映画。
クローズアップの多様で描かれる、"信仰"を間にはさんだ教会とジャンヌの葛藤・せめぎあいに圧倒されました。

夜の浜辺でひとり(2017)

前出の「お嬢さん」のキム・ミニ主演。キム・ミニはホン・サンス監督作の"ディーバ"と言われ複数の監督作に出演。不倫関係にもなって批判されているようですが、「それから」(2017)が面白かったので「正しい日、間違えた日」(2015)と併せて録画・DVD化してだんだん観ています。
特に気に入っているのはセリフ、とりわけセリフに現れたり顕れなかったりする感情と人間関係の面白さ。それこそごくごく日常的なリアルがそこにあります。
キム・ミニは「純愛譜」(2000)やドラマの「グッバイ・ソロ」(2006)のころはあまり惹かれませんでしたが、演技もうまく魅力的にもなりました。これはホン・サンス効果なのでしょうか。

キル・ボクスン(2023)

ひたすら大好きなチョン・ドヨン見たさに観たのですが、相当な面白さでした。クライマックスでは「キル・ビル Vol. 2」(2004)を思いだしましたが、子供(娘)がいる女殺し屋という点が共通していただけではなく、シーンの設定に似たものを感じました。
ただこちらは母娘の関係が大きなテーマの一つとなっている点、より深みがあったように感じました。
また韓国は日本同様銃規制が厳しいので、殺しあいは刃物を持った格闘、というのが迫力を呼んでいます。

以上、はからずも女性が主役もしくはヒロインが魅力的、という作品が並びました。若い頃は男優で映画を選んでいた傾向があったことを考えるとえらい変わりようですが、それについてはまたいずれ。
また韓国映画が8分の3とかなりの割合ですが、これはここのところの韓国映画の質の高さに加え、やはり東アジア的な文化、考え方、振る舞いがしっくり来るからかと思います。韓国映画はまだまだ観続けたいですね。

最後にその他の2つ☆(大好き)映画を一覧で。

  • エルヴィス (2002)
  • オールド (2021)
  • 日本のいちばん長い日 (1967)
  • 緋色の街 (1945)
  • ムーンエイジ・デイドリーム (2022)
  • めぐり逢い (1994)
  • 夜は千の目を持つ (1948)
  • ラスト・オブ・モヒカン (1992)
  • ローラ殺人事件 (1944)

というわけで、今年もよろしくお願いいたします🎵

 

 

※写真は8本の中でも特に好きな3本。左から「愛は静けさの中に」「仕立て屋の恋」「ピアニストを撃て」。

 

ブロトピ:2024/01/01