ジャンル:一般犯罪
製作国:アメリカ
監督:ブライアン・デ・パルマ
愛するポイント:ビュジョルド、愛憎の葛藤、そして(いつもの)華麗なデ・パルマ演出
ブライアン・デ・パルマの「キャリー」は愛するに足る作品でしたが、キャリーがあまりにも可哀そうで「愛する映画」には入れられませんでした。この作品にも主人公たちが気の毒な部分はありますが、結果的にはよかったと言えるでしょう(ネタバレになりますが、ハッピーエンド好きの方はご安心ください)。
ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドはこの作品の前から「まぼろしの市街戦」「1000日のアン」と良い仕事をしてきました(特に後者はおすすめ一歩手前です)が、自分としては本作でハートをつかまれました。「コーマ」も彼女のおかげで観られたし、イーストウッド主演ながら陰陰滅滅な印象だった「タイトロープ」も彼女のおかげで随分と救われていた気がします。
主人公たちのデンジャラスな愛憎をロマンチックでサスペンスフルに描いた脚本はポール・シュレイダー。この時期は「ザ・ヤクザ」(☆☆☆)、「タクシー・ドライバー」(☆☆)、「ローリング・サンダー」(☆☆☆)と、自分的にはお気に入りの作品を排出しています。自分が一番映画を観ていたころだというのにすぎないかも知れませんが。
ストーリー展開もテンポよく、ヒチコックを意識していると言われる演出も、デ・パルマの臭みは薄めだと思います。いや薄めにしておいた分ラストで炸裂したというべきでしょうか。それゆえに一度は愛する映画からははずしたものの、忘れられない作品としてよみがえりました。
どんな形で炸裂しているかを書いてしまうとネタバレすぎるので、観てのお楽しみとしてください。
次回はイーストウッドの「アウトロー」をご紹介します。