【ネタバレ】ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 Män som hatar kvinnor | 映画の楽しさ2300通り

映画の楽しさ2300通り

ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

公開年:2009

☆☆☆

 

映画を観てみるとこの邦題(というか原作英訳版のタイトル)も微妙ですが、興味をそそられたのは事実なので、うまいタイトルと言わざるを得ません。
実際にはドラゴン・タトゥーを彫った女がテーマというよりは、原題どおり「女を憎む男」の話なので、「白いドレスの女」(これも原題には女は入ってませんが)のように女を主軸にしたなまめかしいサスペンスという訳ではなく、もっと硬質な仕上がりとなりました。

とはいえ、主役のノオミ・ラパスは魅力的でした。キャスティング段階では本国では賛否両論あったようですが、映画公開後は大方納得だったようです。初出の紫のリップで不健康そうな登場では「なに?(これがヒロイン?)」と思いましたが、スッピンに近いメイクの時は可愛らしいとさえ言え、小さめの体躯ながらアイアンを振り回してミカエル(ミカエル・ニクヴィスト。役名とファーストネームが同じ)を救出する際の勇ましさ、かっこよさのギャップがまたよし。凄惨な過去を持ったキャラクターはある意味演じやすいかもしれませんが、そうした雰囲気を醸し出すのはやはり難しいでしょうし、見事なキャスティングであり役造りだと思います。ヒロインというよりはヒーローでした。

スェーデンの暗く沈んだ風景と色調が全体のペースとムードを作り上げた印象で、謎解き自体はこれも凄惨なものとはいえ、それほどスリリングではない。むしろリスベット(ラパス)の過去、および今にもつながっている、女を憎む(あるいは怖れる)男たちの犯罪の凄惨さがこそがテーマなので、謎解きよりはミカエルとリスベットの関係が深まるにつれて彼女のキャラクターが形をとってくる所にサスペンスがあります。
その意味では彼女に興味をもてなければ楽しめない部分があるかもしれませんが、タイトルをネタバレになりかねないものから彼女に焦点をあてたものにした判断は、ある意味正しいと言えるような気がしてきました。

あとに続く「火と戯れる女」「眠れる女と狂卓の騎士」も録画してあるのですが、もう少し楽しみを先のばしにしようと思います。2作目を観ようかどうしようか決めかねている「スパイダーマン」とは大分違う扱いですが。