キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン Catch Me If You Can ☆ | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

映画は演出と映像と編集のトリックで魅せることが多いだけに、詐欺師の話にぴったりだと思います。以前にも「スティング」や「ペーパームーン」など、楽しい話がありました。

ここでも楽しい詐欺話が満載ですが、眼目は少年詐欺師を演じるディカプリオと彼を追うFBI捜査官トム・ハンクスでしょう。
ディカプリオは童顔なだけでなく、演技でも幼さをきちんと表現し、トム・ハンクスは相変わらず何を演らせても上手いのですが、今回はクソまじめだが人情味のある(というか人情に目覚めた)捜査官を好演。彼ほど引っ張りだこでなければ、「追跡者」のトミー・リー・ジョーンズよろしく「FBI捜査官カール・ハンラティ」のスピンアウト作品が作れそうです(実在の人物ではないし)。

詐欺のトリックはどちらかと言うと喜劇的で、当時のアメリカのおおらかさ(ヴェトナム戦争はまだだったか?)をうかがわせますが、サスペンスよりは二人の追い追われる関係に重点を置いた感じ。その関係を膨らます意味で脇を固めたクリストファー・ウォーケン、ナタリー・バイ、マーティン・シーンらベテランの上手さが光りますが、それだけに犯罪およびその重大さに対するアプローチは弱いと言えるでしょう。

未成年の天才詐欺師(とその更生)を描くという点では成功ですが、楽しさ以上のものがあったのかというと、自分にはあまり感じられませんでした。もちろん楽しければ十分ですが。