事案:「化粧品を運んでくれ」と言われ、「何か日本に持ち込みを禁止されている覚せい剤のような物である」との認識で覚せい剤を日本に持ち込んだような場合に覚せい剤輸入罪の故意が認められるか


 行為者に覚せい剤輸入罪の故意が認められるか。

 

思うに故意責任の本質は犯罪事実を認識して規範の問題に直面し反対動機を形成可能であるにもかかわらず。あえて犯罪行為に及んだことに対する道義的非難


 とすれば、このような非難が可能となるためには行為者が規範に直面し反対動機を形成可能な程度の事実を認識している必要


 そして、依存性の薬理作用を持つ身体に有害な薬物であるとの認識があれば反対動機が形成可能といえ、かかる認識があれば故意ありといえる

犯人の計画では第一の行為の後の第二行為で結果を発生させるつもりだったが、意外にも第一の行為の時点で結果が発生してしまった場合

第一の行為と第二の行為の時間的場所的接着性、両行為の関連の強さ、犯人の計画や第一行為から結果発生までの障害の多寡などからして規範的にみて両行為を一個の行為としてみうる場合、その行為に実行行為性と構成要件的故意を認めることができる。

あとは因果関係の錯誤の問題となる。


*クロロホルムを吸引させて失神させ、自動車ごと海中に転落させて溺死させる計画で、実はクロロホルムを吸引させた段階で被害者は死亡していた場合

 判例 吸引させる行為と転落させる行為を密接な行為とした上で、吸引させる行為の時点で殺人の実行着手を認め、一連の殺人行為に着手して目的を遂げている以上、上記のような予想外の事情があっても殺人の故意に欠けることはない

事例:被害者の首を絞めて殺したと誤信して砂浜に置き去りにしたところ、被害者は実はその時点では生きていたが砂を吸引して死亡。


 第一の行為により意図した結果が実現しなかったのに実現したものと誤信し、第二行為を行ったところ、それによって意図した結果が実現した場合の犯罪の成否はどうなるか。


 この点、第一の行為についての殺人未遂と第二の行為について過失致死罪を成立させるという見解がある.

しかし意図した結果を実現しているのに未遂罪にとどまるとするのは妥当ではない。


 思うに、第一の行為たる被害者の首を絞めるという行為は人の生命侵害の具体的現実的危険を有するといえるので殺人の実行行為にあたり、その後の事情は行為後の介在事情として因果関係の問題として処理する