メイド・イン・チャイナが今、問題視されている。
でも、これは一時的なものだ、と私は思っている。
まあ、大きな国だけに、ちょっと時間がかかるかもしれないけれど。
要は、品質管理のきちんとしたものの方が、結局、商品価値が高くて儲かる
んだという認識が、中国の製造現場にしっかり浸透していけば、事態は
変わっていくだろうってこと。今回の騒ぎで、むしろその傾向は加速しそうだ。
安かろう悪かろうの品を作ってしまうのは、経済が成長中の国が一度は通る
道だと思う。メイド・イン・ジャパンだって、かつては、安いガラクタ品の代名詞
だったのだ。(本当だ)
日本が高品質の製品を売りにするようになると、安物は一時期メイド・イン・台湾
やメイド・イン・コリアに移ったけれど、今ではどちらの国も、品質の高い製品を
作っていることは、いうまでもない。
中国も、いずれそうなっていくだろう。
今、品質管理が危機的なのは、むしろ中国じゃなく、日本だ。
かつて日本の売りだった、高度かつ徹底した品質管理が、崩れてきている。
理由は簡単で、多くの生産ラインで働く人が、生活の安定した正社員ではなく、
日雇い同然のパート労働者になってきているからだ。
最近、求人広告を見たことない人は驚くかもしれないけれど、今や派遣社員と
言えばオフィスワークではなく、工場の生産ラインで働く人のことだ。それが
大量に募集されている。求人広告を見ていると、中にはクリーンルームでの
作業のような、かなり重要なことまで、派遣労働者に任されているのがわかる。
機械の進化と企業のリストラの結果、正社員が減らされ、生産ラインの仕事の
多くがパート労働者の担当になってしまった。生産量に合わせて簡単に人員を
増減できるから、そうした方が効率的だと、企業は考えているらしい。
念のために言うと、私は、派遣労働者の仕事ぶりが悪いなんて思っていない。
不安定で低賃金な待遇を考えたら、ものすごくがんばっていると思う。
でも、並みでない、世界最高水準の製品(そうでなければ、他国に勝てない)
を実現してきたこれまでのメイド・イン・ジャパンは、終身雇用制のもとで、安定
した生活を保障されていた労働力が、中心になって生み出したものだ。
それと同じ水準を、パートで働く非熟練工に要求するのは、単純に、無理だ。
私が東南アジアに住んでいた十年前、メイド・イン・ジャパンはブランドだった。
メーカー名より目立つように、製品に表記してあったぐらい、強いブランド力
があった。
今では、東南アジアの人たちでさえ、「メイド・イン・ジャパンだから」という理由
では、モノを買わなくなった。高品質で特別なもの、という認識をされなくなった
からだ。
同じぐらいの品質が、他国製の同じような値段の製品(あるいはもっと安い
製品)でも手に入るようになったからだ。
ブランド力を急速に失いつつあるメイド・イン・ジャパンの先行きは危ない。
これから伸びていくであろう中国とは比べ物にならないほど、危ない。
それなのに、日本の社会では正社員の数が切り詰められ、パート労働者が
あふれるようになってしまった。おかげで今や正社員は過重労働、パートは
不安定な低賃金生活だ。どちらの側も、生活の質は低い。低すぎる。
日本で豊かなのは、企業だけだ。
(あとは、ブランド物を買いまくっている、謎な人たちだけってところか)
この先どうなってしまうのか、日本が不安だ。