〈〈 謎に満ちたこの世界 〉〉 | アリス高崎障がい者就労継続支援

アリス高崎障がい者就労継続支援

群馬県高崎市にある障がい者就労支援施設です。
心の病の方が主に利用しています。
安心感と楽しさと仲間同士のつながりの中での回復を一緒に目指していける、そんな場作りを心がけています。
悩みをゆっくり話せる個人相談の時間も大切にしています

 

 

〈〈 謎に満ちたこの世界 〉〉


アリス高崎
ブログ担当 N です



「今日、なんか寒くないですか?」


1人の若者から通りすがり廊下でそう声をかけられました、


「そうだね」


と僕は何気なく答えました、



「なぜですか?」



「なぜって言われても…まぁ、秋になったからだろうね、」



「あー!、そうですよね!」



「うん、そうだね」



「ところで、秋になるとなぜ寒くなるんですか?」



「なぜって言われてもねぇ… 」



『謎』ってことですか?」



「いや、別に『謎』とは思ってないよ。
むしろ当たり前だと思ってるけどね、」



僕にとって当たり前である事は、彼にとっては『謎』であるのかもしれません




「ところで…」

ここで彼がまた話を切り出してきました


「 『なぞにく』 って知ってますか?」


「なぞにく?」


「はい」


「知らないなぁ」



「 『謎の肉』 と書いて 【なぞにく】 と言うんですよ



「あー、なるほど『謎の肉』ねぇ、
ちょっと知らないなぁ」



「そういうのがあるんですよ」


「どこにあるの?」


「今日のお弁当の中に入っていました」


「えっ!今日のお弁当の中に?」


「はい」


「それはどんなふうに謎だったの?」


「肉が衣に包まれていたんですよ… 」


「うん、肉が衣に包まれていたんだね、」


「はい、そうなんです」


「ところで、
いったいその衣には、どんな『謎』が包まれれていたの?」


「実はですね…」


ここで彼は急に声を潜めて、僕の耳元で囁くように伝えてくれました、


「実は…衣の中に『謎の肉』が入っていたんです」


「謎の肉…?」


「はい、謎の肉が入っていたんです」


「どんなふうに謎の肉だったの?」



「実はですね…
それが、
鶏の肉なんだか、
牛の肉なんだか、
どっちかわからないくらい『謎の肉』だったんです」




「鶏肉か牛肉かどっちかわからない肉だったの?」


「はい、実はそうなんですよ」



「確かに、それは『謎』だね。
『なぞにく』だね、」



「はい、まったく『なぞにく』でした




彼は深く頷き、

ここで話が終りました




「ところで、」


また話が切り出されました、


「ところで…今日寒くないですか?」


最初の話に戻りました。


「寒いね」


「なぜですか?」


「いやぁ…
だからさっき言った通り…秋だから……」



『謎』ですよね




…謎かなぁ…?



秋になったから、寒くなったって…謎かなぁ…

当たり前のような気もするけれど…

…でも…


う〜ん…どうだろう…



「…まぁ確かに…『謎』…かもね…」



「はい

まったく『謎』ばかりですよ

この世の中は!!



う〜ん…

なんとなくそんなような気もしてきたなぁ…


たしかにそうかもしれない


この世の中は謎に満ちている
!!




           

( 前回の記事のタイトルが『衣と鎧』でした。
職員という責任の『衣』をまとった自分の中に、
その職員としての自分と、
無邪気でもろい、素の自分が
混在しているということを書いたんだけど、

ちょうど今回、彼が僕に伝えてきてくれたことが、
お昼の弁当の中に
『衣に包まれた肉』
があって、
その衣の中の肉が、
鶏肉なのか?
牛肉なのか?
どちらか区別のつかない
『謎の肉』
であったということなので、
内容が重なってて面白いなぁって思いました😊❣️ )